エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「純司は多分、あたしが嫌いだよ?」
「それは一体、どういう……」
「言葉通りの意味! 許嫁だったんだけど、結局1回も好きだとは言ってもらえなかったの。純司を好きで居続けた時間、返してって感じで……!」
「お付き合い、していないのですか……?」

 彼女の性格次第では、「あなたには関係ないでしょ! この泥棒猫!」なんて罵られても、おかしくはない発言だった。
 もしもそんなふうに激昂されたら、こちらはひたすら謝罪をするしかない。
 どうしようと不安になりながら、三千院さんの口から言葉が紡がれるのを待つ。
 すると、想い人の元許嫁はどこか困った様子とともに、冗談めかして告げる。

「あたしは、したかったんだけどねー。相手の気持ちを無視して、強要するわけにはいかないでしょー?」
「じゃあ、大門寺さんと口づけを交わし合っていたのは……」
「純司とキス? それって、いつの話?」
「6年ほど前に……。産婦人科の近くで……」
「うーん。澄花ちゃんの言う場所に心当たりはないけど、行動には思い当たるフシがある!」

 彼女はしばらく悩んだ末、口元を綻ばせて申し訳なさそうに謝罪した。
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