こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
「広告を見たら1回余分に脳トレにチャレンジできるのはどうだろう?」
「ぜひお願いします!」
 パーティで「後日詳しく聞かせてほしい」と言われたので、今日は実際のアプリを見せながら説明すると思っていたのに、まさかのスポンサー契約!
 
 遥は営業の佐久間を呼び、山本会長が連れてきた広報担当の話を一緒に聞いてもらった。

「もし可能であれば開発中の新アプリを見せてもらえませんか?」
「もちろん大丈夫です!」
 佐久間はヤスには聞かずに大丈夫だと答える。
 ヤスが慌てた姿を思い浮かべながら、遥は佐久間に広報担当を案内するように頼んだ。

「うちだけでなく、柘植夫人からも話が来ると思うよ」
「柘植夫人……ですか?」
 誰だろう?
 先日のパーティでそんな名前の人と挨拶をしただろうか?

「あ、そうか。面識がなかったね」
 山本会長はコーヒーを飲みながら、遥が帰った後のパーティの様子を話してくれる。
 あのとき化粧室に他の人がいたなんて気にする余裕なんてなかったが、タオルを準備してくださった優しい女性がいたことに遥の胸は温かくなった。
 
「柘植会長はこの地域の歯科医師会の会長さんだよ」
「えぇっ」
「この地域だけでなく、他の地域からもスポンサー契約があるといいね」
「期待してはいけないですが、すごく期待しながら待ちます」
 遥が正直に気持ちを伝えると、山本会長は面白い子だと笑う。

「成長が楽しみだよ」
「ありがとうございます。ツクモソフトをがんばって立て直します!」
 山本会長はプライベートの連絡先も教えてくれた。
 なにか困ったことがあったら力になると。
 きっと連絡し合うことはないだろうが、遥は連絡先を交換させてもらえたことがうれしかった。

「間宮CEOの婚約者じゃなかったら、うちの孫を勧めるのに。残念だよ」
「破談になったらぜひ」
「こんな素敵な女性を手放したりしないだろう」
 はははと気さくに笑ってくれる山本会長には契約上の婚約者だとバレてはいないみたいだ。
 とても婚約者には見えないと言われなくてよかった。
 
 ヤスのところから戻ってきた佐久間と一緒に、山本会長と広報担当をお見送りする。
 タクシーが見えなくなるまでお辞儀をした遥の髪を佐久間はぐちゃぐちゃっとかき混ぜた。

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