こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
「もうこんな時間か。食事は取れそうか?」
 少しだけキリのいいところまで待ってくれと隼人が急いで仕事をしようとする。
 
「急がなくていいから!」
 遥は両手を左右に振りながら、ようやく気まずいソファーから立ち上がることができた。
 キッチンに向かい冷蔵庫から炭酸水を奪うと、炊飯器が「ご飯が炊けました」としゃべる。

「炊きたてごはん……」
 絶対においしいに決まっている!
 遥は冷蔵庫を開けてごはんのお供になりそうなものを探したが、たまごかけごはんくらいしか自分で作れそうなものはなかった。

「……塩むすびかな」
 冷蔵庫の横の棚からラップを取り、コンロの近くで塩を探す。
 コンロ横の引き出し収納を開けると、調味料たちがお行儀よく並んでいた。
 
「ほんっと几帳面」
 なんでも適当に置く自分とは大違いだ。

「まさか塩ってこれ?」
 岩塩っぽいものが電動ミルに入っているけれど。
 
 ボタンを押せばいいのだろうか?
 遥がラップの上でボタンを押すと、砕かれた塩がラップの上にパラパラと広がった。
 無駄におしゃれだわ。
 
 次は炊き立てご飯を乗せ、再び塩を振りかける。
 ラップごと包んだら、ようやくごはんを欲張りすぎたことに気が付いた。

 これでは食いしん坊だ。
 コンビニのおにぎりの1.5倍はありそう。
 しかも三角おにぎりにしたいのに熱くてうまく握れないし、丸くて不格好。
 おにぎりでさえ理想的に作ることができない自分の不器用さに遥は呆れた。
 
「……でかいから、俺の分だな」
 ひょいっとおにぎりを取り上げられた遥は、いつの間にか隣に来ていた隼人を見上げる。

「待って、それ塩しか」
 具もないただの塩むすびだし、塩も適当なのに。
 止めるよりも早くおにぎりは隼人の口に。
 
「うまいよ」
 そんな笑顔は反則でしょう?
 ただの塩むすびをそんな美味しそうに食べなくたって。
 普段、あんなに豪華な食事を自分で作れるくせに。
 
 遥は目の前のつかみどころのない男に翻弄されているとわかっているのに、隼人がおにぎりを食べ終わるまで目を離すことができなかった。
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