こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
17.花火
目が覚めた時は自分の部屋のベッドだった。
父の話を聞いて泣くなんて恥ずかしすぎる。
時計はもうすぐお昼の12時だが、一緒に徹夜をしてくれた隼人はきっと寝ているだろう。
遥はリビングのパソコンに向かい、バックアップの状況を確認した。
「あ、終わってる」
完了しましたの文字にホッとすると、メールを受信していることに気が付いた。
「醍醐さんだ」
こんなに早く資料を送ってくれてありがとうと書かれた文章に思わず口の端が上がる。
すぐに送った方が印象がいいもんね。
夜中に頑張って良かったと遥はニヤニヤしながらパソコンを閉じた。
「さぁ、実家の片付けに行こう」
そろそろちゃんと片付けないと。
初盆だし、きれいな家で父を迎えたい。
遥は電子ボードに「実家の片付けに行ってくる」とメッセージを送信し、マンションを出た。
「暑っ」
ツクモソフトは9連休だが、多くの会社は出勤日。
男性の日傘も珍しくなくなったし、ビジネスマンも小型扇風機を持つ時代なのね。
空いている電車に乗り、駅から徒歩5分で実家へ。
家は古いが、立地は良いのできっと売れるだろう。
本当は売りたくないけれど、これ以上退職者が出たら退職金の支払いに困ってしまうから。
遥は建付けの悪い雨戸を開き、窓を開ける。
セミの鳴き声なんて久しぶりに聞いたなと思いながら、遥は片付けを始めた。
燃えるゴミ、燃えないゴミに分けていくと、つい手に取って感傷に浸ってしまう。
「もっと無になって作業しないと終わらない!」
あっという間にゴミ袋はいっぱいになり、次の袋へ。
夜はマンションに帰り、翌朝また片づけを開始する。
月曜の午後から金曜まで片付けたが、物持ちが良すぎて、捨てても捨てても終わらなかった。
玄関のチャイムが鳴り、お寺さんを出迎えようとした遥は予想外の人物に驚いた。
「あれ? なんで?」
「初盆だろ?」
「え? なんでうちを知って……?」
玄関の前にいたのは、ブラックスーツに白無地のワイシャツ、黒無地のネクタイをした隼人。
手には百合と桔梗の花を持ち、まるで初盆の法要に来てくれたかのような恰好だ。
「線香あげていいか?」
「あっ、もちろん」
隼人はスリッパも何もないのに気にすることなく上がり、父に線香をあげてくれる。
親戚なんて誰一人来ていないのに、どうして?
すぐにやってきたお坊さんの読経も一緒に聞き、隼人は父を供養してくれた。
「片付いたか?」
「見てわかるでしょ、全然よ!」
なんでこんなに荷物が多いのよと自分の家なのに文句を言う遥の頭にポンと触れた隼人は、スーツの上着を脱ぐと、押し入れの高い場所にある荷物を下ろしてくれる。
勝手に捨てることなく、あくまでも遥のサポートだ。
さりげなく新しいごみ袋に変わり、いっぱいになったゴミ袋は口が縛られ片隅に。
電池を抜いたり、分解してそれぞれのゴミに分けたり、重いものを運んでくれたり。
「変わった場所に扉があるんだな」
隼人は不自然な場所に作られた扉を開け、「キッチンか」とすぐに閉める。
「冷蔵庫がなんでダイニングにあるんだと思ったが、置くスペースがないのか」
「狭い家で悪かったわね」
庶民なんてこんなもんよと遥は肩をすくめた。
父の話を聞いて泣くなんて恥ずかしすぎる。
時計はもうすぐお昼の12時だが、一緒に徹夜をしてくれた隼人はきっと寝ているだろう。
遥はリビングのパソコンに向かい、バックアップの状況を確認した。
「あ、終わってる」
完了しましたの文字にホッとすると、メールを受信していることに気が付いた。
「醍醐さんだ」
こんなに早く資料を送ってくれてありがとうと書かれた文章に思わず口の端が上がる。
すぐに送った方が印象がいいもんね。
夜中に頑張って良かったと遥はニヤニヤしながらパソコンを閉じた。
「さぁ、実家の片付けに行こう」
そろそろちゃんと片付けないと。
初盆だし、きれいな家で父を迎えたい。
遥は電子ボードに「実家の片付けに行ってくる」とメッセージを送信し、マンションを出た。
「暑っ」
ツクモソフトは9連休だが、多くの会社は出勤日。
男性の日傘も珍しくなくなったし、ビジネスマンも小型扇風機を持つ時代なのね。
空いている電車に乗り、駅から徒歩5分で実家へ。
家は古いが、立地は良いのできっと売れるだろう。
本当は売りたくないけれど、これ以上退職者が出たら退職金の支払いに困ってしまうから。
遥は建付けの悪い雨戸を開き、窓を開ける。
セミの鳴き声なんて久しぶりに聞いたなと思いながら、遥は片付けを始めた。
燃えるゴミ、燃えないゴミに分けていくと、つい手に取って感傷に浸ってしまう。
「もっと無になって作業しないと終わらない!」
あっという間にゴミ袋はいっぱいになり、次の袋へ。
夜はマンションに帰り、翌朝また片づけを開始する。
月曜の午後から金曜まで片付けたが、物持ちが良すぎて、捨てても捨てても終わらなかった。
玄関のチャイムが鳴り、お寺さんを出迎えようとした遥は予想外の人物に驚いた。
「あれ? なんで?」
「初盆だろ?」
「え? なんでうちを知って……?」
玄関の前にいたのは、ブラックスーツに白無地のワイシャツ、黒無地のネクタイをした隼人。
手には百合と桔梗の花を持ち、まるで初盆の法要に来てくれたかのような恰好だ。
「線香あげていいか?」
「あっ、もちろん」
隼人はスリッパも何もないのに気にすることなく上がり、父に線香をあげてくれる。
親戚なんて誰一人来ていないのに、どうして?
すぐにやってきたお坊さんの読経も一緒に聞き、隼人は父を供養してくれた。
「片付いたか?」
「見てわかるでしょ、全然よ!」
なんでこんなに荷物が多いのよと自分の家なのに文句を言う遥の頭にポンと触れた隼人は、スーツの上着を脱ぐと、押し入れの高い場所にある荷物を下ろしてくれる。
勝手に捨てることなく、あくまでも遥のサポートだ。
さりげなく新しいごみ袋に変わり、いっぱいになったゴミ袋は口が縛られ片隅に。
電池を抜いたり、分解してそれぞれのゴミに分けたり、重いものを運んでくれたり。
「変わった場所に扉があるんだな」
隼人は不自然な場所に作られた扉を開け、「キッチンか」とすぐに閉める。
「冷蔵庫がなんでダイニングにあるんだと思ったが、置くスペースがないのか」
「狭い家で悪かったわね」
庶民なんてこんなもんよと遥は肩をすくめた。