こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
隼人に連れて行かれたのは、なぜか遥が行きつけのラーメン屋。
ここは子どもの頃から父と来ていた会社から一番近い店だ。
偶然?
「らっしゃい! おっと、珍しい」
ちょっとおじさん、ニヤニヤするのやめて!
カウンターしかない狭いラーメン屋は回転が良く、すぐに席が空く。
なぜかジャズが流れる店内は、清潔感はあるが年期は隠せず、壁に貼られたメニューは手書きで値段が書き換えられるほど古い。
でも昔から変わらない味を守り続けているこの店が好きだ。
「シュー3アジはまだあるのだろうか?」
「見ない顔だと思ったのに馴染みさんだったか」
こりゃ失礼と陽気なおじさんは笑いながら遥に視線を向ける。
「あ、同じで」
「はいよ!」
水を目の前に置きながら「3アジ2」とおじさんが唱えると、二代目の息子が返事をした。
「なんで裏メニューを知ってるのよ」
隼人が言った「シュー3アジ」はメニューに書かれていない「チャーシュー3枚、味付き卵乗せ」のこと。
ちなみにチャーシュー5枚も7枚も対応可能だ。
遥がジロッと隼人を見つめても、隼人は口の端を上げるだけで答えようとはしなかった。
「ねぇ、あなた謎すぎるんだけど」
「興味が湧いたか?」
「興味の前に何も知らないわ」
知っているのはたくさん会社を経営していることと、料理がうまいこと、父の知り合いっぽいこと。
つまり、ほとんど何も知らないのだ。
店の外をウ〜ウ〜ウ〜、カンカンカンとサイレンを鳴らした車が何台も走っていく。
ギュィーンという変な音も聞こえた遥は首を傾げた。
「変な音」
「最近、緊急車両のサイレンに新しい音が追加されたらしい」
「へぇ~」
そんなことまで知っているなんてこの人が天才なのか、私がニュースに疎いだけなのか。
「へい、3アジお待ち」
昔から変わらない内側に龍の柄がついた器に、チャーシュー3枚。味付き卵と細ネギ、メンマが乗った透き通った醤油ラーメンが目の前に出される。
スープを飲み、麺を啜った隼人は「懐かしいな」と呟いた。
「久しぶりなの?」
「あぁ。ずっと来たかった」
二人でハフハフしながらラーメンを啜る。
普段夜景をバックにワインを飲んでいるセレブなこの男に、ちょっといたずらしてやろうくらいの気持ちだったのに、なんだか負けた気分だ。
「ロサンゼルスにもラーメン屋はある」
4000円以上すると言われた遥は思わず「高っ」と反応する。
「この店の方がうまい」
隼人は少し分厚めのチャーシューに齧り付くと、満足そうに笑った。
「ここのチャーシュー、小さい時から好きなのよ」
「よくチャーシューを米の上に乗せて食べていたな」
あれ? それは私の話? それとも隼人の話?
私もお父さんにチャーシューだけもらって、熱々のご飯の上に乗せて食べるのが好きだったけれど。
「ねぇ、本当に何者?」
「やっぱり俺に興味が湧いたのか」
「そうよ。だから全部白状して」
メンマを食べながら遥が正直にねと付け加えると、隼人はスープを飲んでいたレンゲを置いた。
「俺は間宮総合病院の院長の次男だ」
「えっ?」
間宮総合病院は、地方からもここの名医を紹介されるほど有名な病院だ。
それなのにCEO?
思っていた話とは全然違うスタートに遥は戸惑う。
「病院は兄が継ぐから、俺は好きなことをしている」
「だから医療関係者の知り合いが……」
「そうだ」
まるでウィスキーでも飲むかのような雰囲気で水を飲む隼人は、あまり自分のことを話したくなさそうだ。
自分のことなのに淡々と話す隼人を見ていたら、なんだか聞かない方が良かったような気がしてしまった。
ここは子どもの頃から父と来ていた会社から一番近い店だ。
偶然?
「らっしゃい! おっと、珍しい」
ちょっとおじさん、ニヤニヤするのやめて!
カウンターしかない狭いラーメン屋は回転が良く、すぐに席が空く。
なぜかジャズが流れる店内は、清潔感はあるが年期は隠せず、壁に貼られたメニューは手書きで値段が書き換えられるほど古い。
でも昔から変わらない味を守り続けているこの店が好きだ。
「シュー3アジはまだあるのだろうか?」
「見ない顔だと思ったのに馴染みさんだったか」
こりゃ失礼と陽気なおじさんは笑いながら遥に視線を向ける。
「あ、同じで」
「はいよ!」
水を目の前に置きながら「3アジ2」とおじさんが唱えると、二代目の息子が返事をした。
「なんで裏メニューを知ってるのよ」
隼人が言った「シュー3アジ」はメニューに書かれていない「チャーシュー3枚、味付き卵乗せ」のこと。
ちなみにチャーシュー5枚も7枚も対応可能だ。
遥がジロッと隼人を見つめても、隼人は口の端を上げるだけで答えようとはしなかった。
「ねぇ、あなた謎すぎるんだけど」
「興味が湧いたか?」
「興味の前に何も知らないわ」
知っているのはたくさん会社を経営していることと、料理がうまいこと、父の知り合いっぽいこと。
つまり、ほとんど何も知らないのだ。
店の外をウ〜ウ〜ウ〜、カンカンカンとサイレンを鳴らした車が何台も走っていく。
ギュィーンという変な音も聞こえた遥は首を傾げた。
「変な音」
「最近、緊急車両のサイレンに新しい音が追加されたらしい」
「へぇ~」
そんなことまで知っているなんてこの人が天才なのか、私がニュースに疎いだけなのか。
「へい、3アジお待ち」
昔から変わらない内側に龍の柄がついた器に、チャーシュー3枚。味付き卵と細ネギ、メンマが乗った透き通った醤油ラーメンが目の前に出される。
スープを飲み、麺を啜った隼人は「懐かしいな」と呟いた。
「久しぶりなの?」
「あぁ。ずっと来たかった」
二人でハフハフしながらラーメンを啜る。
普段夜景をバックにワインを飲んでいるセレブなこの男に、ちょっといたずらしてやろうくらいの気持ちだったのに、なんだか負けた気分だ。
「ロサンゼルスにもラーメン屋はある」
4000円以上すると言われた遥は思わず「高っ」と反応する。
「この店の方がうまい」
隼人は少し分厚めのチャーシューに齧り付くと、満足そうに笑った。
「ここのチャーシュー、小さい時から好きなのよ」
「よくチャーシューを米の上に乗せて食べていたな」
あれ? それは私の話? それとも隼人の話?
私もお父さんにチャーシューだけもらって、熱々のご飯の上に乗せて食べるのが好きだったけれど。
「ねぇ、本当に何者?」
「やっぱり俺に興味が湧いたのか」
「そうよ。だから全部白状して」
メンマを食べながら遥が正直にねと付け加えると、隼人はスープを飲んでいたレンゲを置いた。
「俺は間宮総合病院の院長の次男だ」
「えっ?」
間宮総合病院は、地方からもここの名医を紹介されるほど有名な病院だ。
それなのにCEO?
思っていた話とは全然違うスタートに遥は戸惑う。
「病院は兄が継ぐから、俺は好きなことをしている」
「だから医療関係者の知り合いが……」
「そうだ」
まるでウィスキーでも飲むかのような雰囲気で水を飲む隼人は、あまり自分のことを話したくなさそうだ。
自分のことなのに淡々と話す隼人を見ていたら、なんだか聞かない方が良かったような気がしてしまった。