こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
「医者にならなくてはいけないのに、エンジニアになりたかった」
それでも隼人はラーメンを食べながら、遥に生い立ちを話してくれる。
「医者にならないなら家を出ていけと親父に言われて、叔父を頼った」
「待って。ロサンゼルスは子どもの頃に行ったって」
「12歳だった」
「壮絶な家出ね」
最初は当時この近くに住んでいた叔父のマンションで寝泊まりしながら学校へ通っていたが、ロサンゼルスの全寮制の学校を受験し単身アメリカへ。
留学費用は全部叔父が工面してくれたことを隼人は遥に教えてくれた。
もともと医者を目指していたくらいだから、頭は相当よかったのだろう。
それでもたった12歳で日本語が通じない場所で、ひとりで暮らすなんて。
私なんて近所の小学校に何も考えずに通っていただけだ。
何不自由なく育ったおぼっちゃんだと思っていたけれど、会社をたくさん持っているのは、全部この人の努力の証だったんだ。
父が亡くなったから二代目社長になった私とは全然違う。
「……少しは見直したか?」
ラーメンを食べ終わった隼人は気まずそうに遥に微笑む。
「そうね。ちょっとすごい人って認めてあげるわ」
しょうがないわねと言いながら遥が味付き卵を頬張ると、遥の変わらぬ態度に隼人がホッとしたように見えた。
やっぱり知られたくなかったんだ。
家出が恥ずかしかった?
それとも親のことを知られたくなった?
「あ~、おいしかった!」
チャーシュー3枚は欲張りだったかもしれない。
普段は1枚だから3倍だ。
「わっ、なにこれ」
ラーメン屋を出た瞬間、焦げ臭い匂いで喉がむせる。
喉に張り付くような痛みに驚き、慌てて手で口元を押さえたが匂いはどうにもならなかった。
「そういえばさっき消防車が……」
「急いで離れよう」
夜なのにどす黒い煙が見える広場通りと駅前の駐車場が反対方向で良かった。
そう思った瞬間、遥のスマートフォンがポケットの中で鳴り響く。
「……警備会社?」
慌てて電話を取った遥は、告げられた思いもよらない言葉に目を見開いた。
『火災が発生しました』
消防車は現場に到着済み。現在、消火活動中だと報告される。
それってまさか、あの広場通りの火事?
うちの会社が燃えているの……?
ふらっと立ち眩みがした遥を隼人が支えてくれる。
近所で火事があっただけ、うちの会社はきっと無事だと心の中で必死に願いながら広場通りの方へ向かった遥は、角を曲がった瞬間、思考が停止した。
字が読めなくなった会社の看板と、放水で崩れ落ちた壁。
消防車の赤いランプが眩しくて、熱風が肌を刺し、煙が目に染みる。
「嘘……」
遥は心臓が締め付けられるような痛みを抱えたまま、変わり果てた光景を前に立ち尽くすことしかできなかった。
それでも隼人はラーメンを食べながら、遥に生い立ちを話してくれる。
「医者にならないなら家を出ていけと親父に言われて、叔父を頼った」
「待って。ロサンゼルスは子どもの頃に行ったって」
「12歳だった」
「壮絶な家出ね」
最初は当時この近くに住んでいた叔父のマンションで寝泊まりしながら学校へ通っていたが、ロサンゼルスの全寮制の学校を受験し単身アメリカへ。
留学費用は全部叔父が工面してくれたことを隼人は遥に教えてくれた。
もともと医者を目指していたくらいだから、頭は相当よかったのだろう。
それでもたった12歳で日本語が通じない場所で、ひとりで暮らすなんて。
私なんて近所の小学校に何も考えずに通っていただけだ。
何不自由なく育ったおぼっちゃんだと思っていたけれど、会社をたくさん持っているのは、全部この人の努力の証だったんだ。
父が亡くなったから二代目社長になった私とは全然違う。
「……少しは見直したか?」
ラーメンを食べ終わった隼人は気まずそうに遥に微笑む。
「そうね。ちょっとすごい人って認めてあげるわ」
しょうがないわねと言いながら遥が味付き卵を頬張ると、遥の変わらぬ態度に隼人がホッとしたように見えた。
やっぱり知られたくなかったんだ。
家出が恥ずかしかった?
それとも親のことを知られたくなった?
「あ~、おいしかった!」
チャーシュー3枚は欲張りだったかもしれない。
普段は1枚だから3倍だ。
「わっ、なにこれ」
ラーメン屋を出た瞬間、焦げ臭い匂いで喉がむせる。
喉に張り付くような痛みに驚き、慌てて手で口元を押さえたが匂いはどうにもならなかった。
「そういえばさっき消防車が……」
「急いで離れよう」
夜なのにどす黒い煙が見える広場通りと駅前の駐車場が反対方向で良かった。
そう思った瞬間、遥のスマートフォンがポケットの中で鳴り響く。
「……警備会社?」
慌てて電話を取った遥は、告げられた思いもよらない言葉に目を見開いた。
『火災が発生しました』
消防車は現場に到着済み。現在、消火活動中だと報告される。
それってまさか、あの広場通りの火事?
うちの会社が燃えているの……?
ふらっと立ち眩みがした遥を隼人が支えてくれる。
近所で火事があっただけ、うちの会社はきっと無事だと心の中で必死に願いながら広場通りの方へ向かった遥は、角を曲がった瞬間、思考が停止した。
字が読めなくなった会社の看板と、放水で崩れ落ちた壁。
消防車の赤いランプが眩しくて、熱風が肌を刺し、煙が目に染みる。
「嘘……」
遥は心臓が締め付けられるような痛みを抱えたまま、変わり果てた光景を前に立ち尽くすことしかできなかった。