こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
19.防犯カメラ
永遠に存在するなんて思っていない。
でも、こんなふうに突然無くなるなんて想像したこともなかった。
「遥!」
火災現場に飛び込んでいきそうな遥の腕を隼人が止める。
「離して! 会社の中にお父さんの時計が! お母さんの写真も!」
「……無理だ」
「無理って何よ! 無理なんかじゃ」
自分だってわかっている。
消火活動中の会社の中に入って、社長室の机の引き出しからお父さんの時計と子どもの頃に3人で動物園に行った時の家族写真を取ってくることなんてできないと。
でも。
だからって諦めたくない。
諦められない。
「あとで探してきてやるから」
そんなの無理だとわかっているのに、頷いてしまう自分が馬鹿みたいだ。
無力な自分が本当に嫌になる。
隼人に抱きしめられながら、遥はただ泣くことしかできなかった。
通報が早かったおかげか、火元が会社の中ではなかったからか、なんとか建物の全焼は免れた。
ぼやと言うには被害が大きく、会社の中はすすで真っ黒。
変わり果てた姿に遥は口をつぐんだ。
「火災の原因は?」
遥を支えながら、バインダーを持った消防士に隼人は尋ねる。
急に話しかけられ、困惑した消防士に隼人は遥が1階の会社の社長だと告げた。
「あっ。責任者の方でしたか。少しおうかがいしたいことが」
質問調書を取らせてほしいと言われた隼人は遥の代わりに答えていく。
会社は先週の土曜から一週間休みだったこと、会社の中にはガスや調理場などはないこと、たばこも社内では吸えないことを隼人は伝える。
消防士は調書に書き込みしながら、火災現場の状況もあわせてメモしていった。
「目撃者の証言などから、出火場所は会社の前だと思っています」
「会社の前?」
「えぇ。植木から火が出ていると通報がありましたので」
たしかに会社の壁に沿ってプランターに花が植えてあった。
もう寿退社してしまったユミが世話をしてくれていた花たちだ。
「たばこの不始末のようですが、今調査している最中です」
「……たばこ」
通行人がたばこをポイ捨てしたということ?
火が壁に燃え移って、会社が燃えてしまったの?
そんなもので父の会社が?
「遥!」
ガクンと身体の力が抜けてしまった遥を隼人がしっかりと支えてくれる。
「明日、詳細を聞かせてもらうことはできますか?」
「えぇ。このあと防犯カメラの映像なども確認しますので、明日の午後であれば、ある程度情報が整理されていると思います」
「では明日消防署にうかがいます」
隼人に横向きに抱きかかえられるなんて非日常的であり得ないのに、もう何も考えたくない。
明日からどうしたらいいのか、会社がどうなるのか考えなくてはならないのに。
いつの間に車に乗ったのか、いつマンションに戻ったのかもよく覚えていない。
覚えているのは、泣きながらベッドに蹲る私の頭に温かい手があったことだけ。
お父さん、会社守れなくてごめんなさい。
遥は絶望から目を背けるように眠りの世界へ落ちて行った――。
でも、こんなふうに突然無くなるなんて想像したこともなかった。
「遥!」
火災現場に飛び込んでいきそうな遥の腕を隼人が止める。
「離して! 会社の中にお父さんの時計が! お母さんの写真も!」
「……無理だ」
「無理って何よ! 無理なんかじゃ」
自分だってわかっている。
消火活動中の会社の中に入って、社長室の机の引き出しからお父さんの時計と子どもの頃に3人で動物園に行った時の家族写真を取ってくることなんてできないと。
でも。
だからって諦めたくない。
諦められない。
「あとで探してきてやるから」
そんなの無理だとわかっているのに、頷いてしまう自分が馬鹿みたいだ。
無力な自分が本当に嫌になる。
隼人に抱きしめられながら、遥はただ泣くことしかできなかった。
通報が早かったおかげか、火元が会社の中ではなかったからか、なんとか建物の全焼は免れた。
ぼやと言うには被害が大きく、会社の中はすすで真っ黒。
変わり果てた姿に遥は口をつぐんだ。
「火災の原因は?」
遥を支えながら、バインダーを持った消防士に隼人は尋ねる。
急に話しかけられ、困惑した消防士に隼人は遥が1階の会社の社長だと告げた。
「あっ。責任者の方でしたか。少しおうかがいしたいことが」
質問調書を取らせてほしいと言われた隼人は遥の代わりに答えていく。
会社は先週の土曜から一週間休みだったこと、会社の中にはガスや調理場などはないこと、たばこも社内では吸えないことを隼人は伝える。
消防士は調書に書き込みしながら、火災現場の状況もあわせてメモしていった。
「目撃者の証言などから、出火場所は会社の前だと思っています」
「会社の前?」
「えぇ。植木から火が出ていると通報がありましたので」
たしかに会社の壁に沿ってプランターに花が植えてあった。
もう寿退社してしまったユミが世話をしてくれていた花たちだ。
「たばこの不始末のようですが、今調査している最中です」
「……たばこ」
通行人がたばこをポイ捨てしたということ?
火が壁に燃え移って、会社が燃えてしまったの?
そんなもので父の会社が?
「遥!」
ガクンと身体の力が抜けてしまった遥を隼人がしっかりと支えてくれる。
「明日、詳細を聞かせてもらうことはできますか?」
「えぇ。このあと防犯カメラの映像なども確認しますので、明日の午後であれば、ある程度情報が整理されていると思います」
「では明日消防署にうかがいます」
隼人に横向きに抱きかかえられるなんて非日常的であり得ないのに、もう何も考えたくない。
明日からどうしたらいいのか、会社がどうなるのか考えなくてはならないのに。
いつの間に車に乗ったのか、いつマンションに戻ったのかもよく覚えていない。
覚えているのは、泣きながらベッドに蹲る私の頭に温かい手があったことだけ。
お父さん、会社守れなくてごめんなさい。
遥は絶望から目を背けるように眠りの世界へ落ちて行った――。