こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
「あ、似ているだけかも。よく見えないですし……」
 実際に防犯カメラの映像では顔までは見えない。
 なんとなく雰囲気が似ているというだけだ。
 遥はしどろもどろになりながら答える。
 
「遥。違ってもいいから」
 違うなら違うとちゃんと調べてくれるから大丈夫だと隼人に言われた遥は、ポケットからスマートフォンを取り出し、以前シラカワ製作所で写真を撮った勇気の名刺を表示した。

「M-ADC?」
「白河さんのところに来ていた営業の……」
「取説動画で揉めていた?」
 隼人に聞かれた遥は小さく頷く。

「たまたまポイ捨てされたというわけではない可能性があるということですね?」
 慎重に調べますと言いながら、刑事は遥のスマートフォンに表示された勇気の名刺を撮影する。
 
「情報提供、感謝します」
「よろしくお願いします」
 遥は刑事に深々とお辞儀をし、隼人と警察署を出た。

「……すまない」
「あなたのせいではないでしょ」
 それきり会話がないまま車に乗り、マンションへ。

 なんとなく部屋に籠りたくなかった遥は、リビングのふかふかソファーに埋もれながらぼんやりと過ごした。

 聞こえてくるのはカチャカチャと隼人がキーボードを叩く音。
 さっきの電話の相手は弁護士だろうか。消防署や警察署での出来事を話していたけれど。
 土曜日なのに申し訳ない。

 あぁ、そうだ。月曜から会社なのにどうしよう。
 みんなが出社する場所もパソコンも何もないのに。
 
「遥、従業員は何名だ?」
「え? ……18かな?」
「名簿は出せるか?」
「パソコンに従業員名簿が……あ、ないわ。サーバーが燃えてしまったから」
 本当に何も残っていない。
 泣いている場合ではないのに涙がこみ上げそうになる。
 
 隼人はソファーに腰掛けると、遥の頭をポンポンと優しく叩き励ましてくれる。

「落ち込むのは今日までだぞ」
 明日からは忙しくなると言われた遥は、意味がわからず首を傾げるしかなかった。
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