こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜

20.古民家オフィス

 どうしてこんなことに。
 遥は実家にどんどん搬入される荷物に顔を引きつらせた。

 和室にはローテーブル、フローリングのリビングには通常のデスク。
 ダイニングテーブルは部屋の端っこに寄せられて大きなサーバーとネットワーク機器が置かれている。

 名付けるのであれば『古民家オフィス』だ。

「なんなの!?」
「明日から仕事だろ?」
「そうだけれど!」
 実家をオフィスにするなんて!

「うちの会議室を提供しようかと思ったが気まずいだろうし、レンタルスペースは気を遣うだろう」
 ここが一番費用も掛からずベストだと正論を言われた遥は、ぐぬぬと押し黙る。

「ほら、箱からパソコンを出して並べろ」
 今日から忙しいと言っただろうと言われた遥は、隼人に言われるがまま段ボールからパソコンを取り出した。

 隼人は大きなサーバーの電源を入れ、キーボードをカチャカチャと操作していく。
 黒い画面に白い文字が流れ、画面が出ては消えてを繰り返すモニターは、今日も何をしているのかさっぱりわからなかった。
 
 チャイムが鳴り、急に呼び出された人物がやってくる。

「ごめんね、富樫。日曜なのに」
「ううん、えっと、会社……」
 ここに来る前に見てきたけれど、丸焦げだったと気まずそうに笑う富樫を遥は中に招き入れた。

「なんか、すごいことになってる」
 玄関を入って廊下の左が和室オフィス、右がダイニングオフィス。
 ちょっとおもしろいと笑う富樫に遥は「おもしろくない!」と反論した。

「待っていた」
 ダイニングオフィスの奥からやってきた隼人はメモを富樫に渡す。
 そっけなく「まかせた」と伝えただけで、隼人はすぐにサーバーの前に戻ってしまった。

「なによ、その暗号」
「ネットワークの設定だよ」
 富樫は和室オフィスに入ると、パソコンを開く。

「ハルカちゃん、パソコンの電源全部入れて」
「全部?」
「うん、とりあえず和室オフィスの10台。あとあの青線をリビングから持ってきてパソコンに繋いで」
 遥は指示されるままに廊下に丸まっていた青い線を和室に伸ばし、パソコンに刺す。

 富樫はメモを見ながら画面に入力し、どんどん隣のパソコンに移動していった。
 富樫が作業していたパソコンは何かをインストール中の画面が出ている。

「ハルカちゃん、何か出たら『次へ』って押して」
「わかった」
 少し眺めていると『次へ』と押す画面が出てくる。

「富樫、『次へ』を押したのにまた出た!」
「もう一回『次へ』を押して」
 指示通りに押すと、青色のバーが進み始める。
 遥は富樫を追いかけるように、隣のパソコンに移動した。

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