こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
「助けるどころか、遥の大事な会社を奪うなんて」
 謝っても謝り切れないと隼人は悔やむ。
 隼人は遥が作ったマドレーヌとメモを手に持つと、静かに自分の部屋へ向かった。

    ◇
 
 翌朝、遥は消えたマドレーヌの代わりに置かれたメモに発狂した。

『しばらく忙しい。実家に帰れ』
 男らしいけれど綺麗な字で、実家に帰れですって!?

「別居禁止じゃなかったかしら」
 おまえの夕飯なんて作る暇がないくらい忙しいんだぞということだろう。
 マドレーヌを乗せていたお皿はキッチンに戻っていないから部屋に持って行ったみたいだけれど、実家に帰れ!?

「なんなの?」
 実家にも着替えはあるし、特に荷物を詰める必要はない。
 身支度をし、化粧品だけ鞄に突っ込んだ遥は、身勝手な男に腹を立てながら会社に出社した。

 火災のお知らせを見た取引先からの問い合わせメールや励ましメールに返信を送っているうちに午前が終わり、午後はようやく保険会社から火災現場を確認しましたと言う連絡が来た。
 状態は半焼。
 全焼の方が保険金も多く建て替えやすかったのにと言われた遥は、つい保険会社に怒ってしまった。
 半焼だったからこそ、父の時計も家族写真も社印も無事だったのだ。
 
「おい、ハルカ! M-ADCがやべぇことになってるぞ!」
 ダイニングオフィスで佐久間が遥を呼ぶ。

「どした、佐久間」
「なになに?」
 和室オフィスにいた人たちも、ダイニングオフィスにいた人たちもみんなが佐久間の周りに集まる。
 ノートパソコンのモニタをみんなで眺めるには小さかったが、遥はすぐに釘付けになった。

『大変申し訳ありませんでした』
 画面に映っているのは深々と頭を下げている隼人。
 フラッシュの光が眩しい記者会見の映像に、遥はゴクッと唾を飲み込んだ。
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