こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
26.初志貫徹
会場裏の控室に到着した遥は大きく深呼吸をした。
重厚な扉が、左右へと静かに開かれる。
その瞬間、会場内のざわめきが、まるで魔法にかけられたかのように一瞬で消え去った。
遥が纏っていたのは、一切の無駄を削ぎ落とした、シュッとした細身の白ドレス。
シルクの光沢が歩くたびに流麗なラインを描き出し、潔いほどの「白」は、彼女を貶めようとした悪意ある噂をすべて洗い流すかのような、圧倒的な清廉さを放っていた。
「……っ」
誰かが息を呑む音が、静寂の中に響く。
「略奪愛の悪女」の本性を見破ろうと手ぐすね引いていた記者たちは、目の前の気高い女社長の姿に、シャッターを切ることさえ忘れて立ち尽くした。
遥は真っ直ぐに壇上を見据える。
そこには、世界中の視線など一切気にとめず、ただ一人、遥だけを見つめる隼人がいた。
「紹介します。彼女がツクモソフト社長、そして私が愛する九十九遥さんです」
隼人は紹介し終わるのが早いか、歩き出すのが早いかのタイミングで壇上から扉の遥の元へ。
一斉に向けられる無数のレンズを背中で遮るように、隼人は真っ直ぐに遥の元へと歩み寄り、手を差し伸べた。
遥はその手に、震える指先をそっと重ねる。
「綺麗だ、遥」
記者たちには聞こえないほどの、独り言のような低い囁きに遥の心臓が跳ねる。
隼人は遥の手を握ったまま、その場に跪いた。
遥の指先に慈しむような、逃げ場を奪うような熱いキスを落とすと、隼人は遥の目を見つめる。
「九十九遥さん、結婚してください」
一斉に浴びせられるフラッシュの嵐。
「22年前からずっと好きだ」
「……22年前?」
って私、7歳?
7歳の私、何をしていた?
「ツクモのプログラミング教室で、全然うまくできない俺を明るく励ましてくれただろ?」
隼人はスマートフォンを取り出し、待ち受け画面に設定した唯一の写真を遥に見せる。
「え……? 嘘でしょ? うまくできなくて泣いていた子じゃない」
どうしてあんな泣き虫が、こんなに大きく、しかも天才になるのよ。
あまりの衝撃に、素で答えた遥の言葉に会場のマスコミはドッと沸いた。
しかもプログラミング教室が開催されたのは、たったの一年だけ。
週一回の一年間で、22年も想ってくれるような出来事なんて何もなかったはず。
「あの時、遥が『絶対できる』と言ってくれたから今の俺がある。だから、ふさわしい男になって迎えに行くと決めていた」
会場の空気は「世紀の純愛ドラマ」に。
「待って。その言葉だけ?」
「俺にとっては人生を変える魔法の言葉だった」
どこが?
なんで?
そんな些細な言葉で会社まで作ったっていうの⁉
「九十九社長! プロポーズの返答は?」
「その写真、あとで見せてもらえませんか?」
騒然とする中、隼人は跪いたまま、遥の手をもう一度ぎゅっと握りしめた。
重厚な扉が、左右へと静かに開かれる。
その瞬間、会場内のざわめきが、まるで魔法にかけられたかのように一瞬で消え去った。
遥が纏っていたのは、一切の無駄を削ぎ落とした、シュッとした細身の白ドレス。
シルクの光沢が歩くたびに流麗なラインを描き出し、潔いほどの「白」は、彼女を貶めようとした悪意ある噂をすべて洗い流すかのような、圧倒的な清廉さを放っていた。
「……っ」
誰かが息を呑む音が、静寂の中に響く。
「略奪愛の悪女」の本性を見破ろうと手ぐすね引いていた記者たちは、目の前の気高い女社長の姿に、シャッターを切ることさえ忘れて立ち尽くした。
遥は真っ直ぐに壇上を見据える。
そこには、世界中の視線など一切気にとめず、ただ一人、遥だけを見つめる隼人がいた。
「紹介します。彼女がツクモソフト社長、そして私が愛する九十九遥さんです」
隼人は紹介し終わるのが早いか、歩き出すのが早いかのタイミングで壇上から扉の遥の元へ。
一斉に向けられる無数のレンズを背中で遮るように、隼人は真っ直ぐに遥の元へと歩み寄り、手を差し伸べた。
遥はその手に、震える指先をそっと重ねる。
「綺麗だ、遥」
記者たちには聞こえないほどの、独り言のような低い囁きに遥の心臓が跳ねる。
隼人は遥の手を握ったまま、その場に跪いた。
遥の指先に慈しむような、逃げ場を奪うような熱いキスを落とすと、隼人は遥の目を見つめる。
「九十九遥さん、結婚してください」
一斉に浴びせられるフラッシュの嵐。
「22年前からずっと好きだ」
「……22年前?」
って私、7歳?
7歳の私、何をしていた?
「ツクモのプログラミング教室で、全然うまくできない俺を明るく励ましてくれただろ?」
隼人はスマートフォンを取り出し、待ち受け画面に設定した唯一の写真を遥に見せる。
「え……? 嘘でしょ? うまくできなくて泣いていた子じゃない」
どうしてあんな泣き虫が、こんなに大きく、しかも天才になるのよ。
あまりの衝撃に、素で答えた遥の言葉に会場のマスコミはドッと沸いた。
しかもプログラミング教室が開催されたのは、たったの一年だけ。
週一回の一年間で、22年も想ってくれるような出来事なんて何もなかったはず。
「あの時、遥が『絶対できる』と言ってくれたから今の俺がある。だから、ふさわしい男になって迎えに行くと決めていた」
会場の空気は「世紀の純愛ドラマ」に。
「待って。その言葉だけ?」
「俺にとっては人生を変える魔法の言葉だった」
どこが?
なんで?
そんな些細な言葉で会社まで作ったっていうの⁉
「九十九社長! プロポーズの返答は?」
「その写真、あとで見せてもらえませんか?」
騒然とする中、隼人は跪いたまま、遥の手をもう一度ぎゅっと握りしめた。