こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
「俺がエンジニアになれたのは遥のおかげだ。だから今度は遥の夢を、ツクモの会社を俺にも守らせてくれないか?」
遥は目の前の「初恋を22年拗らせた男」を見つめる。
契約だ、売上倍増だ、そんな理屈はもうどうでもいい。
今はただ、22年間走り続けてきたこの男の誠実さが、白く輝くドレスに負けないほど眩しかった。
「……うまくいかないって泣く暇もないわよ?」
遥は照れながら、細かいことなんて気にしない私とは正反対な真面目で一途で努力家で不器用な男の手を握り返す。
「泣かずに頑張るさ」
その瞬間、会場を揺るがすような拍手と、数え切れないほどのシャッター音が響き渡った。
熱狂を切り裂くように、有能すぎる秘書・田沼が音もなく歩み寄る。
彼の手にあるトレイには、眩いばかりの光を放つダイヤモンドの指輪が鎮座していた。
隼人は迷いのない手つきでそれを取り、遥の細い薬指へと滑らせる。
ずっしりとした重みと、フラッシュを反射して虹色に輝く石。
どこに隠し持っていたのか、腕から溢れんばかりの大輪のバラの花束まで手渡された。
「……ちょっと田沼さん、優秀すぎない?」
感動より先に驚きが勝ってしまった遥の呟きに、隼人は耐えかねたように吹き出す。
「ツッコむのはそこか」
隼人は花束を抱えたままの遥を、記者たちの前で堂々と抱き寄せた。
「これからはもう、一人で戦わなくていい。君の会社も、君の人生も、全部俺が背負う」
耳元で囁かれた誓いに、遥はついに降参するように隼人の胸に顔を埋める。
こうしてこの記者会見は「22年越しのシンデレラストーリー」として世界中に配信されることとなった。
……というのは序盤。
「……待って。無理よ、そんなの」
「大丈夫。サポートはする」
「そうじゃなくて」
スクリーンに映し出された初耳の情報に遥は唖然とした。
指輪の重みもバラの香りも、一瞬で彼方へ吹き飛んでいく。
会見場の熱気が、急激にビジネスの冷徹な空気へと塗り替えられた。
「これは株式譲渡ということですか?」
「いや、違う。――吸収合併だ」
会場の記者たちが一斉にノートパソコンを叩く音が、銃声のように響く。
「M-ADCがツクモソフトを傘下にする、ではないのですか?」
「ツクモソフトがM-ADC日本支社を飲み込む。会社名はツクモソフトだ。そして米国M-ADCとツクモソフトは、対等なパートナーとして共同経営を行う」
会場が今日一番、いや、日本の経済史上でも稀に見るほどの激震に揺れた。
ちょっと待って。「守る」という言葉の次元が違いすぎる。
「合併なんてしなくても」
「ライバル関係は効率が悪い」
「うちの社員は20人いないのよ? こっちが上じゃバランスが……」
「大丈夫だ。ツクモには優秀なエンジニアが揃っている」
彼らの給与体系を見直し、早急に昇格昇進を決め、適切なポジションに着かせると隼人は笑った。
遥は目の前の「初恋を22年拗らせた男」を見つめる。
契約だ、売上倍増だ、そんな理屈はもうどうでもいい。
今はただ、22年間走り続けてきたこの男の誠実さが、白く輝くドレスに負けないほど眩しかった。
「……うまくいかないって泣く暇もないわよ?」
遥は照れながら、細かいことなんて気にしない私とは正反対な真面目で一途で努力家で不器用な男の手を握り返す。
「泣かずに頑張るさ」
その瞬間、会場を揺るがすような拍手と、数え切れないほどのシャッター音が響き渡った。
熱狂を切り裂くように、有能すぎる秘書・田沼が音もなく歩み寄る。
彼の手にあるトレイには、眩いばかりの光を放つダイヤモンドの指輪が鎮座していた。
隼人は迷いのない手つきでそれを取り、遥の細い薬指へと滑らせる。
ずっしりとした重みと、フラッシュを反射して虹色に輝く石。
どこに隠し持っていたのか、腕から溢れんばかりの大輪のバラの花束まで手渡された。
「……ちょっと田沼さん、優秀すぎない?」
感動より先に驚きが勝ってしまった遥の呟きに、隼人は耐えかねたように吹き出す。
「ツッコむのはそこか」
隼人は花束を抱えたままの遥を、記者たちの前で堂々と抱き寄せた。
「これからはもう、一人で戦わなくていい。君の会社も、君の人生も、全部俺が背負う」
耳元で囁かれた誓いに、遥はついに降参するように隼人の胸に顔を埋める。
こうしてこの記者会見は「22年越しのシンデレラストーリー」として世界中に配信されることとなった。
……というのは序盤。
「……待って。無理よ、そんなの」
「大丈夫。サポートはする」
「そうじゃなくて」
スクリーンに映し出された初耳の情報に遥は唖然とした。
指輪の重みもバラの香りも、一瞬で彼方へ吹き飛んでいく。
会見場の熱気が、急激にビジネスの冷徹な空気へと塗り替えられた。
「これは株式譲渡ということですか?」
「いや、違う。――吸収合併だ」
会場の記者たちが一斉にノートパソコンを叩く音が、銃声のように響く。
「M-ADCがツクモソフトを傘下にする、ではないのですか?」
「ツクモソフトがM-ADC日本支社を飲み込む。会社名はツクモソフトだ。そして米国M-ADCとツクモソフトは、対等なパートナーとして共同経営を行う」
会場が今日一番、いや、日本の経済史上でも稀に見るほどの激震に揺れた。
ちょっと待って。「守る」という言葉の次元が違いすぎる。
「合併なんてしなくても」
「ライバル関係は効率が悪い」
「うちの社員は20人いないのよ? こっちが上じゃバランスが……」
「大丈夫だ。ツクモには優秀なエンジニアが揃っている」
彼らの給与体系を見直し、早急に昇格昇進を決め、適切なポジションに着かせると隼人は笑った。