愛しい君よ〜俺達の恋〜
運転手からお釣を受け取ると先行く亜子の背中を追った。



すれ違う男たちが亜子の背中を振り返る。



そんなにやついた男とまた俺がすれ違う。




「ねぇ…」



遅れて歩く俺の歩幅に合わせるようにスローな足取りに変わる亜子が呟いた。



「ん、何?」



「蓮、もうすぐ誕生日だね」



「そうだな…忘れてた」




「毎日、忙しいもんね…先生?」



「ちゃかすなよ」



フフフ…と色っぽい笑みを浮かべて俺の顔を覗く。





俺が、生まれた日。






俺が海と共にこの世で呼吸をはじめた日。





忘れてはいないさ。




俺は。
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