涙を包むラベンダー(リメイク)
まず出迎えてくれたのは、鮮やかなマリーゴールドのじゅうたん。

赤、白、黄色、ピンク、オレンジ。

そこから少し目線を上げると、急斜面を覆う畑が紫色に染まっていた。

逢月姫
「満開のラベンダー…香水とぜんぜん違う。くらくらする…。」

ミントのような、フルーツのような…。

爽やかさと甘さが混ざった独特の香りに、ほろ酔いの心地よさを感じた。

逢月姫
「このラベンダー畑に来たのは3度目。満開のラベンダーを見られたのは…初めて…1人で来たのも……ぐす……初めて……。」

汗とは違うしずくが、私の頬を伝って落ちた。

1つ…2つ…3つ……。

逢月姫
「あなたと一緒に…見たかったな…。」



しずくは私の眼を赤く染め、やがて細い水流となって滴り落ちた。

逢月姫
「…ごめんね…傷つけたよね…?私…どうしてあなたを”試すようなマネ”を…。」

右手をぎゅっと握ってみても、彼の手を感じることはもうできなかった。

失恋の痛みは、彼への罪悪感とともに、ラベンダーの香りに溶けていった。
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