喰 喰
私の行動が意外だったのか、驚きの過剰な反応。
目隠しは取れている。
見てみたい。どんな表情をしているのか。
恐れを持っているのは、私だけじゃない。
普通と異なる状況に、彼らも戸惑っているのだと安堵したから。
視線を後ろに向けると、悲しみを伝える眼。
刺激される既視感。
「きっと、いつか……どちらかは消える。」
その言葉に、私は椅子から立ち上がって。対峙する。
「その眼が怖い。」
また。
分からない。私の視線。
見ているのは、どっち?
どちらかは消える。
『きっと』
本人も分かっていないのだろうか。
ノゾミ君とワタルくん。
私の選択に、何を望んだのか……
彼らは私に想いを告げる。
「好きだ」と。
彼を見ていた私。
理解できるはず。そう言われ。
既視感。思い出せない一瞬。
私が見たもの。聞いたウワサ。目にした側面。思い描いてきた夢物語の妄想。
それも覆るような状況。
二重人格。どちから消えると言われ。
私に何を求めるのか。
「……嘘じゃない。私も希渉くんが好き。」
嘘じゃない。気持ちは変わらない。
二重人格ときいても。試されるようなことを言われても。
これは現実。私が、ずっと見ていたのは…………
夕暮れ。少しの影。どちらか分からない表情。
見つめる視線。既視感。
私の『眼』が怖いと言われ。
見ていたから理解できる。それは。
きっといつかは消える。どちらか。
見つけた答えは正しいのか、私にはわからない……
END


