喰 喰
放課後の人気のない部屋に、西日が照らし。
影を帯びた彼は“どっち” ?
窓際に立ち、近づいた私に席を勧める。
「座って。俺ね、試したい事があるんだ。」
穏やかな雰囲気が、少し感じ取れ。
彼はノゾミ君なのだと判断した。
合っているのかは分からないけれど……
「あの、ノゾミくん……?何をするの?」
間違っていれば、また機嫌を損ねてしまうかもしれない。
恐れと、不安……
思い描いてきた恋愛の甘さとは、似つかない感情。
私は言葉を間違えた以上に……足りない情報で、彼を不快にさせたのかもしれない。
それは、これからも続くよね?
「ふふ。当たり……じゃ、目隠しね。」
座った私に、静止を促す素振り。
彼は窓際から移動して私の後ろに回り、布を見せて目を覆う。
「何もしない。触れないから……」
耳元で、囁く低い声。
見えない状況と、今まで抱えていた不安が、恐怖として襲う。
「震えているね。怖いのは当然か。ごめんね……」
ごめん?
謝るのは、私の方なのに。
あなた達を傷つけ、自分の想いも幼い恋心から……
「好きだよ。ずっと、君は“俺達”を見ていた……その眼が、今は……怖いんだ。」
好き?この想いは、どっちの心なの?
私……私は……
「好きだ。オレを選べ……」
触れないと言ったのに。
後ろから優しく抱き寄せ。首元や肩に頬を、すり寄せる。
これはワタルくんなんだ。
口調は荒いけれど。
触れるのは優しく、動きは甘えるように緩やかで。
それも一時。
理解できない感情。言い表せない。もどかしさ。
覆いから解放され、抱きしめる腕に私は手を添えた。