喰 喰

私を……好き?彼が?
「何で?私、好かれるような女じゃないよ??」
「茶紗が見ていたのを知っていたんだよね?その視線で、心が動いたんじゃないの?」
私の視線……そんなにバレバレだった?!
思考が更にグルグル。パニックに、考えがまとまらない。
「自信を持てば良いよ。茶紗は、小さくて可愛い♪ぐふふ……抱き心地も良いし?」
「どうせ、細くないもん……」
お菓子が大好き。美味しいものも我慢できない。
ダイエットなんてしない。
デブではないにしても、少し……ぽっちゃり。背も低い。
それが可愛いなんて、湖未ちゃんは基準がおかしい。
彼と比べるレベルでもない。自信なんて持てない。
それに彼は怒っている。私が傷つけたんだ。
見ていた。そう他の女の子と同様。
離れたところから、見ているだけ。それで満足だった。
彼のこと?どれだけ知っているか……
知らない。私の想いは、現実を見ていない。
勝手に描いた空想の彼を見ていた。
そうだよね、真剣に告白している女の子に便乗して……
それで、好き……なんて。許してくれない。
それに、彼を好きな女の子達はウワサに嫉妬するだろう。
嫌がらせも当然あるよね。
私なんか……
更に涙が溢れて、増すのは情けなさ。
「ぐすっ……っ……うぅっ……」

「何、泣いているの?」
抱き寄せていた湖未ちゃんの声じゃない。
近くに立っていたのは……
「荒木くん?」
「ふふ。希渉って呼んでよ。」
教室の隅にいた私たち。
ウワサで興味津々の視線を受けながら、小さな声で話をしていた。
そこに気配なく彼が現れた。


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