喰 喰
「希渉くん……私の好きな気持ちは変わらない。でも……」
私の言葉に、抱き寄せる力が強くなる。
苦しい……
力じゃない。あなたから伝わる気持ちが、理解できなくて。もどかしい。
「……好きじゃない奴から、キスされたら……どんな気持ちになる?教えてよ……そうしたら、俺もキスしてやる。」
強引に引き離され、唇に強い衝撃。
一瞬の事。
突然の奪われるようなキスを受け入れ。
息があがり、頬が熱い。
思考もグルグル巡り……力が入らず、床に座り込む。
私の腕を、彼の手は放さない。
腕のだるさに、視線を向ける。
「どんな気持ち?教えて……君が好きなのは俺だよね?俺以外の奴のキスは……」
理解できない感情が、涙をあふれさせる。
腕を離された揺れで、こぼれた涙。
影がかかり、私の頬を伝う涙を拭う優しい手。
突き刺さるように鋭い視線なのに。
目を細めた優しい表情に見える。
変化したのか。私がそう受け取っただけなのか。分からない。
彼の顔が近づき、唇にそっと触れるようなキス。
目を閉じた彼……私も目を閉じる。
違う……異なるキス……
『俺じゃないオレ』
……まだ、混乱に区別なんて出来ないけど。
あなたへの愛情は変わらない。
二つの異なる人格の与えるキスが違うように、愛情も異なるのだろう……
私が好きなのは…………
end