幼馴染のち恋模様
次の日は、ゆっくり支度をしてホテルを出た。
我が家に帰ってきて、昨日掛かってきた蓮からの電話の内容を思い出す。話をいつ切り出そうか悩む。
ソファーでぼーっとしている俺に、葵が心配そうに声をかけてきた。
「梗介?体調悪い?」
おでこに触れて体温を確かめてくれている。優しい葵の手に癒される。
「う〜ん?あんまり分かんないな・・・」
呟く葵に今かもしれないと切り出す。
「葵、話があるんだけど・・・」
「うん・・・?」
藤堂瑠奈の名前を出すことに躊躇い、言葉に詰まる梗介を不思議そうに見つめる葵。
一旦、蓮を挟むことにした。
「前に話したと思うんだけど、色々あった時に力を貸してくれた弁護士の篠宮蓮って覚えてる?」
「うん、覚えてるよ。梗介の大学の時のお友達だよね?」
「そいつが葵に会いたんだって。俺は会わせたくないんだけど・・・」
葵はキョトンとした顔をしてからニコッと笑顔を浮かべ頷いた。
「私もお礼がしたいと思ってたの。是非お会いしたいです!」
「何で前向きなの?断って、今すぐ」
「どうして?篠宮さんのお陰で梗介とまた一緒に居られるのに、お礼しなかったらバチが当たるよ!」
分かってる。頭では分かっているが・・・。
「他の男に大事な妻を紹介したい男がどこにいる。葵はもう少し自分が可愛いことを自覚してくれ」
「そ、そう思ってくれるのは嬉しいけど・・・友人に紹介するのは普通のことなのでは・・・?」
普通なんか知るかっ。
だが、葵を困らせたいわけではない。
「お礼をするのはいいけど、条件がある。一つ!2メートル以上近づかないこと。二つ!俺を介して話すこと。三つ!目を合わせないこと。四つ・・・」
「まだあるの!?というか、それ守ったらすごい失礼な人だよ・・・」
「蓮は腹黒いんだ。葵に何を吹き込むか分からないからな」
あいつの本性を映像にして見せてやりたいくらいだ。
「篠宮さんにお礼がしたいのもあるけど、私は梗介が初めて紹介してくれるお友達とちゃんと挨拶したい。梗介のつ、妻として!」
恥ずかしそうに、けれど力強く言い放つ葵。
葵なりに考えてくれていることが分かり嬉しくなった。葵に免じて一つ目の条件以外は無しにしてやるか。
「葵がそこまで言うなら分かった。蓮に伝えとくよ」
葵は嬉しそうに頷いた。
そしてもう一つ、伝えなければならないことがある。こっちが本題だ。
「それからもう一つ、話がある・・・」
梗介の様子から深刻な雰囲気を感じ、葵に緊張が走る。