幼馴染のち恋模様
「藤堂瑠奈の件だ」
葵の表情が一気に曇った。話すのはやめた方がいいか・・・?
そう迷っていると、葵が顔を上げ梗介の目を見る。
「話して。一緒に戦うって決めたでしょ?私一人じゃ立ち向かえないけど、梗介も一緒なら何も怖くないよ」
葵は強いな・・・。
あんなに傷ついて、守るべきは俺なのに・・・葵に背中を押されるとは情けない。
自分に喝を入れ葵に向き直る。
「弱気になってごめん。今から話すことは、絶対じゃない。嫌なら断っていい。寧ろ怒っていいくらいだ・・・だから、思ったことを正直に教えて?」
「分かった」
そうして、藤堂瑠奈が俺と葵に会いたがっていることを伝えた。
葵は考えるように顔を強張らせる。時折、唇を噛み締めるので、されたことを思い出したのだろう。
葵の唇に指を這わせる。
「葵。唇噛むな、痛いだろ?」
見上げる葵の瞳は不安で揺れている。さっきのは強がりだ。怖くないわけない。
そっと葵を抱きしめ、髪を撫でる。
「今思ってること、ゆっくりでいいから教えて?」
安心させるように穏やかに語りかける。
葵は深呼吸して途切れ途切れに話し始めた。
「・・・会うのは、まだ怖い。けど・・・上手くは伝えられないかもしれないけど・・・自分の言葉で、自分の気持ち、ちゃんと伝えたい」
梗介の服をギュッと掴む手は震えている。それでも負けたくないと、戦おうとする葵はやっぱり強い。
片手で葵の手を握り、もう片方の手は頬に添える。
「俺がそばにいる。何があっても守る。だから、思う存分言いたいこと言ってやろう」
冷たかった葵の手が少しずつ温もりを取り戻す。
「それに、最悪弁護士の蓮が出るから大丈夫だ。あいつは何事にも抜かりないからな」
「ふふっ、心強いです」
「俺の方が心強いだろ」
「梗介は殿堂入りです」
「なるほど。ならいい」
葵の顔色も戻ってきてホッとする。
葵がこれ以上傷つけられるなんてこと、あってはならない。絶対に俺が守る。
そう心の中で誓い、葵をまた抱きしめた。