幼馴染のち恋模様

来てほしくない日というのはどうしてこうも早く来てしまうのか・・・。

今日は藤堂瑠奈との面会日。
蓮が勤めている法律事務所の部屋を借りて顔を合わせることになった。

ミーティングルームのような部屋に、弁護士の蓮、梗介と葵、藤堂側は瑠奈とその父親である藤堂社長が同席した。
室内は張り詰めた空気が漂っており、皆、表情が硬い。

「本日の会話は部屋に付いているカメラで全て録音録画されております。言動にはお気をつけください。」

蓮が淡々と話し合いを進めていく。

「今回、藤堂瑠奈さん側から面会のお申し入れがあり、双方が合意された後、こうして集まっていただきました。まずは面会を申し入れた理由について藤堂瑠奈さん、ご説明をお願いいたします」

瑠奈はあの時の姿が嘘のように悄然としていて、俯いている。
藤堂社長に声をかけられるが話そうとはしなかった。

「二人ともすまない。私から説明させてくれないか?」

葵に目を向けると、真っ直ぐ瑠奈を見ていた。俺の視線に気付き微笑むと社長に向き直り頷く。

「ありがとう。私は瑠奈の父親で藤堂一と申します」

葵に向かって自己紹介をする。

「まずはこれまでのこと、私の娘が行った愚行を謝罪したい。申し訳なかった」

社長は深々と頭を下げる。

「謝って済むことではないが、本当に申し訳ない。今回の面会を受け入れてくれたこと感謝します。梗介くんと話した日から妻と娘にも話を聞いた。妻と娘がしたことは許されることではない。そんなことになっていると気が付かずに好き放題させていた私も同罪だ」

葵にしたことが脳内で蘇り、膝の上で拳を握りしめる。

「柚月さんへの脅しも、絶対に有り得ないから安心してほしい。娘があなたに向けた罵詈雑言の責任は私にもある。傷つけたことへの償いがしたいんだ。何か要求はあるだろうか」

葵は真っ直ぐ前を見据えて黙っていた口を徐に開く。

「発した言葉の責任は発したその人にあるはずです。藤堂さんの謝罪は受け入れます。ですが、藤堂さんに償ってほしいとは思いません」

社長は言葉が見つからず言い淀む。

「私は、どうしてあそこまでされなければならなかったのか、その理由が知りたいです」

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