幼馴染のち恋模様
会議終了後、各々が帰っていく中で会議室に残るのは葵一人。
記事の内容が浮かんできたので残ってまとめていると、コンコンッとドアがノックされた。扉の方に顔を向けると、開いているドアにもたれ掛かりニコッと微笑む梗介がいた。
「まだ残ってんのか?」
「言葉が色々出てくるからまとめちゃいたくて・・・でも、もうまとまってきたからそろそろ帰るよ」
資料をまとめて帰る準備をする。
「今日、ありがとな」
私のところまで近づいてくると嬉しそうにグーを突き出す。私も突き返しグータッチ。
「じっとしてられなくて。余計なことしない方がいいかなとも思ったんだけど、街の人の声、ちゃんと届けたくてさ」
私なんかの話に足を止めて応えてくれた人たちの想いに報いたかった。それは叶っただろうか。胸の奥がポッと火が灯るように温かくなった。
「葵のあの一押しがなかったら危なかったよ。さすが、俺の彼女は勝利の女神だ」
頭を撫でながら、褒め称える梗介に吹き出す。
「ぷっ!なにそれ、あははっ!」
「俺の最愛は本当に格好いいよ。あの場で抱きしめたかったくらい」
私の手を取って左手薬指あたりにキスを落とす。
「な、なにっ!」
「照れすぎ。いい加減慣れろよ」
梗介が呆れたように肩をすくめる。
「慣れないよ!梗介相手だもん。ドキドキするに決まってるでしょ・・・」
「グッ!」
呻き声が聞こえ顔を上げると、梗介が胸を抑えて俯いていた。
「どうしたの!?」
「葵・・・俺のこと殺す気?ここ会議室なの。そんな可愛いこと言われても何もできないの。分かる?」
分かりません。頭の中で即答する。
「変なこと言ってないで帰ろう」
「めちゃめちゃ重要案件ですけど!?俺がどんだけ我慢してると・・・おいっ!葵!」
何か言っている梗介を置いて会議室を出る。