幼馴染のち恋模様
血の気が引いていく。
この人は何を言っているのだろうか・・・?
瑠奈は赤いルージュを塗った綺麗な唇を上げ、不敵に笑って葵を見下ろす。
今までこのプロジェクトを通して関わってきた人たちの顔が脳裏に浮かぶ。対立した人もいたけれど、最後はみんなで手を取り合って進めてきた大事なプロジェクトだ。私の私的な感情で潰されていいはずが無い。
「脅してるんですか・・・?」
絞り出した声はひどく掠れて小さい。
「ふふっ、変なこと言わないで?“脅し”じゃなくて“警告”よ」
何が違うのだろうか・・・?
「・・・望みはなんですか?」
「ふふっ、そう来なくっちゃ。今すぐ「別れる」と梗介に連絡して」
嫌だ・・・。
言葉にならない想いが胸を締め付ける。
別れたくなんかない。だけど・・・。
私たちは結ばれてはいけなかったのだろうか。
私がここで意地を張っても、部長だけじゃない他の人も巻き込んで迷惑をかけてしまうだろ・・・。
なら・・・。
震える手でスマホを操作する。梗介の名前を見るだけで愛しさが込み上げて涙となって流れ出る。
わ・・・か・・・・・れ・・・・・・
一文字ずつ入力していくたび、画面が葵の涙で濡れていく。
打ち終えたくなくて、指が上手く動かない。涙で視界が歪み、どうか夢であって欲しいと願いながらゆっくり指を動かす。
最後の文字を打ち終え、あとは送信するのみ。
どうしても押せなくて、手が止まる。
「はぁ・・・あなたの感情は梗介にとっても誰にとっても迷惑でしかないの。さっさと送って」
見かねた瑠奈が追い打ちをかける。葵の心はもうズタボロだった。
深呼吸を一つ。
梗介・・・好きだよ。大好き。
その想いと共に送信ボタンを押した・・・。
泣き崩れる葵の手から瑠奈がスマホを取り上げ確認すると、梗介をブロックし履歴も消した。電話帳からも梗介の名前を探しそれも着信拒否をして削除する。
スマホを葵に戻し、しゃがんで葵に言い放つ。
「金輪際、梗介には関わらないでね?」
その言葉を最後にいなくなった瑠奈は満足げに笑みを深めた。