幼馴染のち恋模様
旅行2日目の朝。
「おはよう」
爽やかな笑顔で出迎えてくれたのは、運転席でナビをいじる浩樹。
「おはよう。車出してくれてありがとう」
「いーえ。んじゃ、出発進行〜!」
拳を突き上げ車を発進させた浩樹につい笑みがこぼれる。
「何だよ・・・」
不満そうに葵に文句を垂れる。
「いや、変わってないなと思って、ふふっ」
「人間そう簡単には変わらないぞ」
深いような浅いようなことを真面目な顔で言われ反応に困る。
「それより!まずは葵の行きたいとこからな」
「お願いしまーす」
車内でも思いのほか話が弾み、楽しい時間が過ごせた。
行く先々で梗介の顔が浮かぶが、浩樹がいることで自然と考え込まずに済んだ。
行きたかったところも行けたし、食べたかったものも食べられて、大変満足だ。
丸一日使って観光しまくり宿まで送ってもらった。
「今日、付き合ってくれてありがとな」
「こちらこそ誘ってくれてありがとう。一人で行くより倍楽しめたよ」
これは本心だ。一人旅行も楽しいが、誰かとその場で感情を共有し合えるのは一人ではできない楽しみ方だから。
「葵・・・今、付き合ってるやついるの?」
「えっ」
「いないなら・・・」
「葵!」
浩樹の言葉に被せるように遠くから名前が呼ばれた。
聞き覚えのある声な気がして動揺する。声がした方に目を向けると一人の男性が走ってくる。
待って・・・どうして・・・?どうして、あなたがここにいるの・・・?
「梗介・・・」
久しぶりに口にする名前にひどく胸が熱くなる。