幼馴染のち恋模様【完】
フロントで梗介の分の手続きを済ませ、葵が泊まっている部屋に行く道中、梗介はずっと気になっていたことを問いかけた。
「そういえば、宿の前に居た男、誰?」
いつもより少し低い声にドキッとする。
なんと答えたものかと迷ったが、とりあえず安全そうな方を先に伝える。
「大学の時の先輩だよ」
「・・・それから?」
ん?もしかして気づいてる?
「・・・前付き合っていた人、です」
そこから何も話さなくなった梗介に不安が募る。聞きたくなかった・・・?
部屋に着き、カードキーで中に入る。
スルッと腕が掴まれ葵を壁に囲い込む。
すぐに噛み付くような口付けが降ってきて、思考が溶けていく。
梗介は、葵の上着を脱がし、服を緩め、首に口付ける。食べられているかのように舐めたり、甘噛みしたり、愛撫が止まらない。
「待って・・・んっ・・・シャワー・・・」
「だめ。待てない」
唇が痺れるくらいの熱いキスに翻弄され腰が砕けそうになり、梗介の服をギュッと掴む。
「あいつと今日ずっと一緒にいたの?」
唇が離され、酸素を一気に取り込む。
梗介のイラついたような声に少し動揺する。
梗介の手が腰から服の中に入り込み、背中を撫でる。梗介の唇は頬や耳、首筋を辿っていく。
ゾクゾクした感覚に体が震えた。
「い・・・た・・・」
「・・・なら、そんな時間忘れるくらい、抱き潰す」
恐ろしい言葉が聞こえ、待ったをかけようとするがキスに飲み込まれた。
そのまま抱っこでべッドまで運ばれる。
「梗介、待って!」
抱っこのまま梗介がベッドに腰掛け容赦無く服が脱がされていく。
「俺のことだけ考えて」
そう呟く梗介の瞳の奥には滾る情欲が浮かぶ。
「やきもち・・・妬いてくれたの・・・?」
葵の体をなぞる手がピタッと止まる。
「・・・・・・・・・・だったらなんだよ」
長い沈黙を経て、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で梗介が呟いた。
「ふふっ、一緒だね」
居心地悪そうな顔をしている梗介の頬を包み込みおでこをくっ付ける。
「俺のは葵のより何倍も醜いよ」
「そんな事ない。嬉しい。大好き」
普段なら恥ずかしくて言えない言葉も今はスルスルと口から溢れていく。
「あんま可愛いこと言ってると容赦しないけど」
体が傾き、気が付けば視線の先には天井。
「はえ?」
何が起きたのか理解する間もなく、服を脱ぎ捨てた梗介が葵に覆い被さる。
深く口付けられ瞬く間に思考が奪われていく。梗介が触れるところが熱を持つように熱くなり、葵の体から力が抜けていった。
「葵・・・好きだ。愛してる」
「私も、すき・・・あいしてっ」
トロトロに溶かされ、うまく舌が回らない葵が言い終わる前に、我慢できないというように唇が塞がれた。
梗介と葵の瞳が熱く甘く交わり、二人の体温が夜の闇に溶けていった・・・。