幼馴染のち恋模様
梗介side
葵からあの言葉が送られてきた日から、藤堂瑠奈の件でバタバタしていたこともあって不眠気味だった。
目を瞑ると、冷たく見下ろす葵の顔が浮かび、とても眠れたものじゃなかった。
やっと事が解決して、葵がこの腕の中に戻ってきた。温もりを噛み締め、今度こそ絶対に失くしてたまるかと固く誓う。
昨夜は葵の乱れた姿にひたすら欲情して言葉通り抱き潰してしまった。一回で終わらせるつもりが、この姿をあの元彼も見たのかと思うと今まで感じた事がないくらいの黒い感情が湧き上がり、止められなかった。
疲れて眠る葵の寝顔が少しずつ梗介を安心させ、眠りへと誘った。
だが、夢に見たのは真逆の葵の姿。別れの言葉を告げ、どこかへ消えていく・・・。追いつこうと走っても手が届かない。遂には姿形さえ泡沫のように消えていき、そこで目が覚めた。
「・・・っ!はぁ、はぁ、はぁ・・・」
汗でベトベトの体が気持ち悪く、最悪の目覚めだ。隣を見ると葵がいない。嫌な予感がして、部屋中を探し回った。
どこにもいない・・・。
葵を失う恐怖が、梗介の背中を這う。
スマホを取り出し昨日取り戻した葵の番号にかけるが話し中になっていて出ない。
また・・・失うのか・・・?
探していない場所といえばあとは外だと、着崩れている浴衣を気に留める余裕はなく、慌てて部屋を出る。
「梗介・・・?」
探し求めていた愛しい人の声に、安堵して涙が出そうだった・・・。