幼馴染のち恋模様【完】
パン屋さんで美味しいパンを堪能した後は、梗介が車を出してくれて、私たちが通っていた高校に来た。校舎が見えてくると一気に記憶が巻き戻る。
校門は閉まっていたので、別のところから入ることにした。職員室に行くと3年生の時に担任をしてくれた若宮先生がいた。
「こんにちは。若宮先生お久しぶりです。覚えてますか?」
「こんにちは・・・あら、柚月さん?と・・・東雲くんじゃない!二人とも久しぶりね〜!」
若宮先生はこの高校に勤めて長く、ベテランの先生だった。何と今は副校長先生だそうだ。
「聞くのは野暮かもしれないけど二人はどういう関係?」
ニヤニヤしながら、近所のおばさんのような絡み方をされた。
「婚約中です」
はっきりと伝える梗介を二度見する。
「まぁ!それはおめでとう!二人はずっと仲良しだったものね〜。もう一人の・・・平井さん!と3人いつも一緒だったのを思い出すわ〜」
葵と真緒がいつも一緒に行動して、梗介は葵に構いに来るので必然的に3人で一緒にいることが多かった。
しかしずっと仲良しだったかと言えば、後半は素直に頷けなくてちょっと気まずい・・・。
「今日は見学に来たんですけど、屋上って開いてますか?」
「もちろん閉まってるわよ。まぁでも、今日だけ特別に開けてあげるわ。危ないことはしちゃダメよ?」
「もちろんです。ありがとうございます」
来訪①、来訪②と書かれた名札を渡され首にかける。
「屋上まで案内するわ」
そう言って鍵を取って一緒に屋上まで向かった。
「そういえば東雲くん建築事務所を経営されてるんですって?」
「はい」
「立派になったわね〜。柚月さんの書いた記事も見てるわよ」
「えっそうなんですか?ありがとうございます。何だか少し恥ずかしいです」
この街のタウン誌なのだから見られて当たり前なのだが、実際知り合いが見ていると分かると何とも言えない気持ちになる・・・。
「二人のこともそうだけどね、ここを卒業していった子たちの活躍を聞くと本当に嬉しいの。あの時より未来を生きてくれている。この子たちの人生の一欠片でも関わることができて良かったって・・・」
そんな風に、長い時間が経っても私たちのことを見守っていてくれたのだと目頭が熱くなった。
「だから!これからの活躍も楽しみにしてるわね!」
屋上の鍵を開けてくれ、中へ促す。
「私は職員室にいるから、帰る時にまた声かけてちょうだい」
「はい。ありがとうございます」
二人で頭を下げて若宮先生を見送った。