メシ友婚のはずなのに、溺愛されてるのですが!?

 最近和真さんは仕事で出かけるから、その隙を見て小夜子さんにテーブルマナーを教わっている。どこから手を付けるかなどのマナーや、姿勢に、服装までしっかりと教えてもらった。


「この際ですから、英語も身に付けてみてはいかがでしょう?」

「英語、ですか……」

「えぇ、目上の方と会話をする際のマナーなどをお教えいたしますよ。瑠香様がご在学なさっている大学は偏差値は高めですから、きっとすぐに身に付けられると思います」

「英語はそんなに得意ではないんですけど……お願いします」

「I got it」


 もうすでに、英語の授業は始まったらしい。まずはメモを取らせてください。

 小夜子さんの授業はとても分かりやすいけれど、今までの学校の授業では教わらなかったものばかり。だから知らない事ばかりで戸惑うところもあった。

 優しく教えてくれるから、何とかついていけているけれど。


「確か、ご友人に凜華様がいらっしゃいましたよね。凜華様はとても英語がお上手で、フランス語も熟知なさっていますから、もしよかったら凜華様とも英語の会話をお願いしてもいいかもしれません」

「七瀬さんと、ですか」

「えぇ。私だけではなく、違った方ともお話をなさるのも勉強になりますからね」


 なるほど……確かに勉強になるかもしれない。

 でも、フランス語まで話せるんだ……知らなかった。和真さん達と七瀬さんは幼なじみだから、小夜子さんは彼女の事はよく知っているのかな。

 じゃあ、明日大学だから声をかけてみよう。



「へぇ、テーブルマナーと英語習ってるんだ! 小夜子さんに。あの人スパルタでしょ?」

「えっ? ううん、優しく教えてくれるよ?」

「……私達だけか。それとも意地悪なパパ達の仕業?」


 七瀬さんも、小さい頃から小夜子さんに習っていたらしい。スパルタ……そんな事ないのに。


「確かに、色んな人と喋ったほうがいいよね。じゃあ、この後フレンチレストランで食事しようよ。私、英語喋ってあげる」

「……お手柔らかにお願いします」

「当たり前じゃん! あ、じゃあ冬真も呼んであげよっか。冬真すっごく英語上手なのよ。私はパパに連れられてパーティーで喋るくらいなんだけど、冬真は目上の方と英語を喋る機会がよくあるから、きっと勉強になるよ」


 と、冬真さんと……ま、まぁ、勉強になるのなら、お願いした方がいいよね。


 と、いう事で冬真さんが加わった。けれど、まさか大学まで迎えに来てくれるとは思わず。七瀬さんと二人で後部座席に座り、運転を冬真さんにさせてしまった。

 別に気にしないで、と言われてしまったけれど……すみません。

 で、緊張気味でフレンチレストランに来店したんだけれど……


「瑠香ちゃん、緊張せずリラックス。ほら、背筋伸ばして」

「は、はい……」


 笑顔が、怖かった……英語はペラペラだし、七瀬さんと冬真さんの会話はほぼ全て英語。私に対しては日本語を話してもらえたから助かったけれど。でも、冬真さんの英語の解説が、細かすぎた。一応メモは持ってきたけれど……頭がこんがらがりそうだ。


「瑠香ちゃん、お肉美味しいよ。柔らかくてソースもぴったりだ」

「はい、美味しいです……」

「瑠香ちゃん、そこはなんて言うんだっけ?」


 ス、スパルタすぎませんか……?

 小夜子さんに教えてもらったけれど、それでも緊張から中々上手くいかず。はぁ、まだまだ修行が足りないな……

 でも、勉強にはなった。これは本当に。この後復習しなくちゃ。あと、小夜子さんにも分からないところを質問してみよう。

 けれど、私は気付かなかった。

 そのフレンチレストランに……和真さんがいた事を。
< 62 / 69 >

この作品をシェア

pagetop