メシ友婚のはずなのに、溺愛されてるのですが!?

 一体何があったのかとだいぶ迫られ、つい話してしまった。あのレストランの後に何があったのかを。


「ふぅん……まるで嫉妬の塊ね。まぁあいつは何でも出来る冬真にちょっとした劣等感抱いてるところもあっただろうし、何となく分かるかも」

「へぇ……」


 確かに、あの発言はそれから来ているのかもしれない。

 そして、ふと思い出したのは偶然冬真さんと泉谷さんとバッタリ会って食事をした時。私のテーブルマナーを指摘されて、人間得意不得意はあると冬真さんがフォローしてくれた時。少しではあったけれど、和真さんは手を止めていた。まぁ、どうなのかは分からないけれど。


「……前に、さ、私瑠香ちゃんに言ったよね。瑠香ちゃんは私の、大学で初めての友達だって」

「え? うん」

「それね、ちょっと違うんだ。今までで初めての、ちゃんとした女の子の友達」

「えっ……」


 ちゃんとした、友達。

 女の子、って事は……幼馴染の和真さんと冬真さんとは違う、友達って事だよね……?


「私達はさ、会社とかの名前がず~っと貼られてるんだよ。私も、ずっとNANASEホールディングス社長の娘っていうのが貼られてるの。だから、ちゃんとした友達がいなかったんだ。けれど、瑠香ちゃんとお友達になれてとっても嬉しくて、楽しかったよ」


 そ、っか……それは、和真さんにも、冬真さんにも、月城グループCEOの息子っていうものが生まれた時から貼られてるって事だよね。

 けれど和真さんは、次男っていうものも貼られているって事になる。


「だからさ、初めてのお友達だから何でもしてあげたいって思ったの。でも、私の感覚と瑠香ちゃんの感覚って違うでしょ? だからどうしたらいいのかなってちょっと悩んでいたんだけれど、この前英語の練習とかテーブルマナーとかを聞いてきてくれて本当に嬉しかったんだ」

「そ、そう……?」

「うん。だからさ、私には何でも言ってほしいの。出来る事が限られてくるけれど、それでも言ってほしい。いい?」


 そ、っか……誰だって、悩む事はある。貧乏には貧乏の、お金持ちにはお金持ちの悩みがある。いや、その言い方は違う。人それぞれ、悩む事はある。


「だからさ……明日空いてる?」

「え? うん、午前中なら」

「午前中か……講義が始まる前ね。分かった、ちょっと待ってて」


 そして、彼女はスマホを取り出した。誰かに電話を掛けだして、コール音が聞こえてくる。


「もしもし、あ、パパ? 仕事中にごめんね」


 ……私は、電話を止めた方が良かったのかもしれない。


「瑠香ちゃん、明日迎えに行ってあげるから待ってて!」

「……あの、行き先は?」

「ん? 私のパパのところ!」


 私は、話す相手を見誤ったらしい。

 だ、大丈夫、よね……?
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