メシ友婚のはずなのに、溺愛されてるのですが!?

「ほ、本当にこれ、大丈夫……?」

「うんうん、可愛い可愛い! 瑠香ちゃんにはやっぱり青が似合うよ!」


 どうして私は、パーティードレスを着ているのだろうか。

 数日前、七瀬さん……凜華ちゃんのお父様であるNANASEホールディングス社長とお会いし、楽しく雑談のようなものをして、そして今凜華ちゃんにドレスを着せられてしまっている。

 パパと一緒になっちゃうから凜華にしてよ~! と言われて直したけれど……パーティードレスを着る事に関しては了承していない。


「言ったでしょ? 和真の仕事を見てみた方がいいって。和真がどんな所で仕事をしていて、どんな方々と仕事をしているのか。それを知るのはいい事だと思うの。大丈夫、私も付いてるから!」


 パパもいるしね! と言われても……心配と不安で押しつぶされそう。

 だって、そこにいるのは社長だったり財閥の方だったりと凄い人達ばっかりなんでしょ? 無理無理無理無理っ!

 確かに、和真さんの仕事姿は見た事がないから見てみたい気持ちはあるけれど……本当に大丈夫かなぁ……?


「せっかくテーブルマナーや英語を習ったんだから。これ、全部和真の為なんでしょ?」

「うっ……」

「瑠香ちゃんの過去をブーブー言うやつなんて、和真がけちょんけちょんにしてくれるわ。だから、瑠香ちゃんは今を頑張ればいいの。ね?」


 す、ごい、考え方……

 今を頑張る。確かに、私は一般家庭で実親のいない貧乏。けれど、今は一応和真さんの奥さんで、色々と勉強中だ。なら、今を頑張ればいい、努力すればいい。そういう事だよね。


「瑠香ちゃんは和真の事大好きでしょ? なら、頑張れるよ」

「うっ……」


 だ、大好き……

 最初の出会いは、美味しいご飯を食べさせてもらった時。それから訳の分からない理由で結婚指輪を持ってきて1年結婚の約束をした。美味しい料理をいっぱい食べさせてくれた。けれど……

 私が出来なかった事を代わりにやってくれた。助けてくれた。褒めてくれた。そして……勝手にファーストキスを持っていかれた。

 一緒にいると、楽しかった。不機嫌にさせてしまう事もあるけれど、一緒に食べるご飯は本当に美味しかった。

 だから、1年後という日がもし来てしまった時私はどうしたらいいのだろうかと一瞬考えてしまう時があったけれど……考えたくなくてすぐに頭から追い出した。

 けれど……また一人になってしまうのは、嫌だな。

 こんなに楽しい日々を過ごさせてくれたのは、和真さんだ。そして、和真さんと会えずこんなに心がズキズキしている。


「さ、行こっか」

「……」


 和真さんが恥をかいてしまうのではないだろうか。私が行って、大丈夫だろうか。


「瑠香ちゃん。瑠香ちゃんなら大丈夫だよ。私が太鼓判押してあげるよ! だから大丈夫!」

「……うん、ありがとう」

「……瑠香ちゃん。もし心配なら和真をさっさと見つけて全部丸投げしちゃいな。和真が何とかしてくれるから」

「えっ」

「自分を放ったらかしにした罰だ! とでも言っておきな。ね?」

「ほ、ったらかし……ははっ、そう、ね」


 ……なら、うにを食べに連れてってもらわなきゃ。ダイエットはしていないけれど……勉強を頑張ったご褒美貰わなきゃ。
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