メシ友婚のはずなのに、溺愛されてるのですが!?
和真さんは、はぁ~~~、と深いため息を吐くと、今度は私の手をしっかりと握ってきた。そして、歩き出した。その先にあるのは、会場だ。
「あ、あの」
「胸張れ」
「あっ」
そして、そのまま会場に入った。私達に、視線が集まってくる。この視線は、大企業社長とか、そういう凄い人達からの視線だ。
大丈夫かな、と不安が募るけれど、またぎゅっと握っている手に力が入った。それだけで、下を向いていた視線が上がった。
その先にいたのは……
「あ、こんにちは瑠香ちゃん」
「あ……こんにちは」
冬真さんと、見た事のない40代くらいの男性と、30代くらいの若い女性。あっ、さっき見た女性だ。けれど……男性の腕に手を乗せている。もしかして……この人のパートナーだった?
そして……
「月城瑠香。私の妻です」
「おぉ、はじめまして」
「とても美人さんねぇ。瑠璃、よかったわね」
先ほど呼ばれた、瑠璃という方。その方は、冬真さんと手を握っている……可愛らしい、女の子。そう、女の子。まるで……小学生、くらいの。
もし、かして……
「一応瑠璃がお義姉さんになるのだが、これでは逆だな。はっはっはっ」
「おとうさま! 私だってちゃんとしたレディです!」
「おぉ、これは失礼した」
もしかして……この可愛い女の子って、以前和真さんに来た縁談の、子?
ちらり、と隣の和真さんに視線を送ると……私に気が付き目が合った。和真さんは、すっごくいい笑顔を見せてくれた。なるほど、その子が今度は冬真さんの婚約者になった、というわけね。
あ、まぁ、一回り下、と言っても大きくなれば……うん、いいと思う。だって、彼女がハタチになったら冬真さんは32でしょ? うん、それなら大丈夫ね。
そして、和真さんは小声で教えてくれた。
「IZUMIYAコーポレーションも大企業ではあったが、こちらも名のある大企業。あの女を切ったとしても、ウチのジジイは文句は言わない」
「なる、ほど……」
こういった企業の話はよく分からないけれど……上手くいった、という事でいいのかな。だから、和真さんは忙しかったのか。
その時だった。和真さんが、耳元でこう言った。
「ウチのジジイは孫の顔が早く見たいらしいが、冬真はこれじゃあだいぶ時間がかかるな。となると……俺達が頑張るしかないか」
「なっ……和真さんっ!」
な、なんて事言ってくるのよ! しかもこんなところでっ!
あ~も~顔が熱いっ……!
「はっはっはっ、とても仲の良い弟夫婦だね。瑠璃も見習わないとな」
「はいっ! よろしくおねがいします、冬真さんっ!」
「うん、こちらこそ。これからよろしくね」
はぁ、和真さんめぇ……このニヤニヤ顔がすごくムカつく……
まぁでも、それもいつも通りの和真さんだ。
色々と勉強を始めたけれど、でもやっぱりまだまだ学ぶことが多い。だから、頑張らなきゃ。
和真さんの為にも。
……ちょっと待って。
確か、泉谷さんと冬真さんって結婚が目前だったんじゃなかったっけ。そして、今回結婚が破棄されて新しい婚約者が出来た。和真さんの様子だと、これは……彼の仕業だ。
彼は最初、孫とかそういうのは兄に任せるって言っていたよね?
それなのに、こんな事をしたのはどうして?
だって、一年後に私と離婚したら和真さんはフリーになる。冬真さんは婚約者が若くて孫を作るに時間がかかるから、和真さんの方に縁談の総攻撃が来る、よね……
……もしかして、最初から私と離婚する気、なかった?
END.


