あなたは狂っている
プロローグ
これは支配なのか
中静琴美は会社近くの公園の屋根のあるベンチを見つけてそこに座った。
びしょ濡れである。
雨は激しさを増していた。
琴美は、ベンチに座ったまま、しばらく空を見上げていた。
身体が震えた。スマホを取り出すと時刻は19時を過ぎていた。
(会社に戻らなければ)
琴美は立ち上がった。
雨の中に飛び出そうとした時、ハッとした。
目の前に、黒い傘をさした霧生冥が立っていた。
霧生は、無言で琴美を見ていた。冷たい目。
琴美「き……霧生副社長……」
霧生はずぶ濡れの琴美をただ見ているだけで何も言わなかった。
琴美の髪から水が滴り落ちている。
ブラウスが濡れて、肌に張り付いている。
霧生の視線が琴美のブラウスに下がった。
透けているブラウス。
琴美はハッとして慌てて両腕で身体を出来る限り隠した。
「す、すみません。見苦しい姿で……」
霧生は次に水が滴る琴美の首筋を見た。
琴美は居心地が悪くなった。
「あの……失礼します」
琴美は霧生の横をすり抜けて雨の中に飛び出そうとした。
「待て」
霧生が琴美の手首を掴んだ。
そのまま琴美を自分の方に引き寄せる。
傘の下、至近距離。
琴美「あ……あの……」
霧生は琴美を見つめる。
無表情。
琴美は霧生の香りを感じた。
香水なのか、なんなのかわからない香りだ。
霧生は琴美のブラウスの第一ボタンと第二ボタンが開いているのに気が付いた。
霧生は琴美にさらに一歩近づいた。
琴美は、後ずさろうとする。
しかし、それより先に霧生がその大胆に開いている襟元に手をすべらせ琴美の首に手を置いた。
あまりにも冷たい手で琴美の体はビクッと跳ねた。
琴美「!」
霧生は琴美の目を見るが無言。
そして次に手が鎖骨に降りて行った。
「……っ」
小さく声が漏れた。
霧生の手が止まった。
琴美と目が合う。
琴美は恥ずかしくて顔が熱くなった。
霧生はクスっと笑い、手を離した。
琴美はようやく息がまともにできた。
「決めたか?」
「え?」
「俺のものになるか、決めたか」
琴美はじっと霧生を見た。
びしょ濡れである。
雨は激しさを増していた。
琴美は、ベンチに座ったまま、しばらく空を見上げていた。
身体が震えた。スマホを取り出すと時刻は19時を過ぎていた。
(会社に戻らなければ)
琴美は立ち上がった。
雨の中に飛び出そうとした時、ハッとした。
目の前に、黒い傘をさした霧生冥が立っていた。
霧生は、無言で琴美を見ていた。冷たい目。
琴美「き……霧生副社長……」
霧生はずぶ濡れの琴美をただ見ているだけで何も言わなかった。
琴美の髪から水が滴り落ちている。
ブラウスが濡れて、肌に張り付いている。
霧生の視線が琴美のブラウスに下がった。
透けているブラウス。
琴美はハッとして慌てて両腕で身体を出来る限り隠した。
「す、すみません。見苦しい姿で……」
霧生は次に水が滴る琴美の首筋を見た。
琴美は居心地が悪くなった。
「あの……失礼します」
琴美は霧生の横をすり抜けて雨の中に飛び出そうとした。
「待て」
霧生が琴美の手首を掴んだ。
そのまま琴美を自分の方に引き寄せる。
傘の下、至近距離。
琴美「あ……あの……」
霧生は琴美を見つめる。
無表情。
琴美は霧生の香りを感じた。
香水なのか、なんなのかわからない香りだ。
霧生は琴美のブラウスの第一ボタンと第二ボタンが開いているのに気が付いた。
霧生は琴美にさらに一歩近づいた。
琴美は、後ずさろうとする。
しかし、それより先に霧生がその大胆に開いている襟元に手をすべらせ琴美の首に手を置いた。
あまりにも冷たい手で琴美の体はビクッと跳ねた。
琴美「!」
霧生は琴美の目を見るが無言。
そして次に手が鎖骨に降りて行った。
「……っ」
小さく声が漏れた。
霧生の手が止まった。
琴美と目が合う。
琴美は恥ずかしくて顔が熱くなった。
霧生はクスっと笑い、手を離した。
琴美はようやく息がまともにできた。
「決めたか?」
「え?」
「俺のものになるか、決めたか」
琴美はじっと霧生を見た。