あなたは狂っている
その時、トイレのドアがノックする音がした。

「琴美?」

聞き覚えのある声。美優だ。
琴美は、慌てて涙を拭った。

「あ、う、うん……」
「どうしたの? さっき、慌てて入っていくのが見えて」

美優の声が心配そうだった。

「琴美……泣いてた?」
「ううん、大丈夫」

琴美はドアを開けて個室から出た。
無理やり笑顔を作った。

「目、赤いよ」

琴美は、視線を逸らした。

「何かあった?」

美優が、優しく聞いた。
琴美は、首を振った。

「何もない……ただ、疲れてるだけ」

美優は、琴美の手を握った。

「琴美、無理しないで」
「ありがとう」

美優が、琴美の背中をポンポンと叩いた。

「でも、いつでも相談してね」
「うん……」
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