あなたは狂っている
マンションの外。
山本は、夜の街を歩いていた。
ポケットからタバコを取り出す。
火をつけて、吸った。
煙を吐き出す。

(めんどくせぇな……)

山本は、美咲のことが、面倒になっていた。
結婚の話も、正直、もう嫌だった。
山本は、ポケットからスマホを取り出した。
連絡先を開く。
そこには、琴美の名前があった。
山本は、琴美の名前を見つめた。
山本の指が、琴美の名前に触れた。
迷いなく通話ボタンを押した。



琴美の部屋。
琴美はベッドに横になっていた。
天井を見つめている。
霧生のことが、頭から離れない。
その時、スマホが鳴った。
琴美は、スマホを手に取った。
画面を見た瞬間、琴美の顔が強張った。
山本智也と表示される画面。
琴美の心臓が、ドクンと嫌な音を立てた。
会社では顔を合わすので仕事のことで話すことはある。
しかし休みの日の連絡はきっと仕事のことではないだろう。
それに仕事だったら社内用のスマホに連絡するはずだ。
琴美は、スマホを見つめた。
呼び出し音が鳴り続ける。
琴美の指が、震えた。
琴美は、通話ボタンとは逆のボタンを押した。

「もうあなたとは関わりたくない」

琴美は、スマホをベッドの横に置いた。
しかしすぐにまた鳴る着信音。


山本は、タバコを吸いながら、スマホを見つめていた。

「また切られた……」

山本は、舌打ちした。
しつこく何度も琴美に電話をかけた。

「でろよっ!」

しかし次にかけた電話は着信音が鳴らなかった。

「お客様のおかけになった電話番号は……」

自動音声が流れた。
着信拒否されたのだ。
山本は、スマホを見つめた。

「はっ着拒かよ」

山本は笑った。
山本は、タバコを地面に捨てた。
足で踏み消す。
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