【SS集】クリスマスに甘い恋を。
 でも…。

 家に帰って家族とのクリスマスパーティーを終えたあと、“寝ないで待ってるから”の言葉が頭の中に居座って、私はなかなか眠ることができず。

 けっきょく、紙コップに書かれていた番号に電話をかけてしまった。




〈はい、もしもし〉


「…も、もし、もし」


〈汐音ちゃん?あぁよかった、ドキドキしすぎて死ぬかと思った――〉




 きっと、私は明るくて、お節介焼きで、グイグイせまってくる朝陽という男に、()かれる運命だったんだと思う。

 出会った瞬間から、逃げられなかったんだ。

 きっとそう。だからしかたない。


 頭のどこかでそんなことを言い聞かせながら、私は布団にくるまって、体をちぢこめた。




〈メリークリスマス、汐音ちゃん。――好きだよ〉




 甘い声が、耳の奥にひびく。

 クリスマスイブの夜、私は太陽みたいな男に愛されてしまった。




fin.

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