【SS集】クリスマスに甘い恋を。
 あぁ、イライラする…!

 なによあの男、そっちから告白してきたくせに浮気するとか!

 まるで私がバカな女みたいじゃない!


 せっかくごちそうが食べられるクリスマスイブなのに、気分台なし!

 つくえでもたたきたい気持ちにおそわれながら、私はしかめっ(つら)をしてコツコツと商店街に入った。




「こんばんは!今ケーキの試食サービスをしてるんですけど、よかったら食べてみませんか?」




 石畳(いしだたみ)の地面は足音がよくひびく。

 そんなことを思っていると、目的のケーキ屋前に立っていたサンタ服のイケメン男子が、笑顔で私に声をかけてきた。

 その左手が指し示す先には、見るからに即席のミニテーブルがある。


 透明(とうめい)なカバーでおおわれた中には、紙コップがところぜましと ならんでいた。

 どうやら、一口サイズに切り分けられたショートケーキがその中に入っているらしい。
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