わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
魔女の国・グランビアの館での会議
魔女の国・グランビア当主の屋敷は、日中でも薄暗い森の中にある。
だだっ広い大広間には、5脚の椅子だけが置かれ、グランビア家の当主が入って来た。
グランビアの当主・エリーゼは、魔女の国の筆頭魔女であり、常緑樹を象徴する深い緑色のドレスと、薄い緑のベールをまとっている。
美しい金の髪は、高く結い上げられ、アメジストの紫の瞳は凍りついた湖面を思わせた。
今日は、定番の老婆の姿ではない。
なぜなら、ここは自分の屋敷だからだ。
娘のクラリスが、エリーゼの左隣に座った。
母親に似ているが、まだ幼さが残り、成人式をするには、あと1年はある。
髪は金ではなく、やや赤みがかった金で、瞳の色はルビーの赤。
そして、若草色のドレスを着ている。
クラリスはもじもじして、時折、隣の母親の横顔を盗み見ている。
このようにじっと座っているのが、苦手なのは明らかだ。
早く野原に行きたい、と、その目は訴えているが、彫刻のように微動だにしない母には、届いていない。
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