わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
右側には、しわくちゃでカギ鼻の老婆が3人座り、それぞれがイチイで作られた長い杖を持っていた。

老婆ではあるが、本当の姿は違う。

魔女の国では成人に達すると、外の場所では本当の姿を隠すのがしきたりだ。

魔女の国は西のグランビア・東のトルドネ・南のアガシュ・北のベルガに別れており、この大広間に代表が集まったのは、重要な決定事項のためだ。

「それでは、交流会の件について提案いたします」

エリーゼ・グランビアが、低めの威厳のある声を発した。

クラリスは横目で母親の方を見た。

この場では冷たい冷気を漂わせるが、本当はそうではない事をわかっている。

二人きりの時は、優しい母だ。

「今年の交流会はグランビアの当番ですので、魔女の国の代表はクラリスを派遣します。
それでよろしいですね」

クラリスは自分の名前が出たので、ハッと息を飲んだ。

ドン、ドン、ドン

3人の魔女は、同意の印を示すためにイチイの杖を床に打ち付けた。
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