わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
皇帝は、座っているグランビアの当主の前に行き、手を差し伸べ頭を下げた。
「グランビアの当主、お相手をお願いしたいのだが・・」
しばらくして、グランビアの当主は立ち上がり、皇帝の手に自分の手をのせた。
拒否すれば、皇帝の面子(メンツ)を傷つけることになるのがわかっていたからだ。
皇帝は彼女の手を握り、まっすぐに広間の中央に向かった。
「まずベールをはずしていただきたい。
踊るのには、邪魔なんでな。
それから、この後、我が国との同盟の件と、アンバーとクラリスの婚姻の儀についても、話し合わねばならないし。」
「皇帝陛下・・強引ですわ」
グランビアの当主はうつむいた。
「強引さがないと、国を治めることができないことを、あなたも理解しているだろう?」
皇帝はそっとベールを持ち上げると、周囲がどよめいた。
だれも、グランビアの当主を見たことがなかったから。
そして、静まり返った。
「これで、グスタフ皇国と魔女の国が友好関係であることが、みなに理解されるだろう」
皇帝は満足げに微笑んだ。
「さぁ、曲を」
二人が踊り始めたると、クラリスはアンバーにささやいた。
「お母さま、幸せそう。よかった・・」
アンバーはクラリスの手をしっかり握った。
「君は・・幸せ?」
「あなたと一緒なら・・」
音楽はまだ続いている。
クラリスが庭を見ると、イーディスとミエルが木々の間を、風に舞う木の葉のように踊っている。
3組の恋人たちは、それぞれに幸福で満たされていた。
<エピローグ>
1年後、アンバーとクラリスの結婚式がとり行われた後、皇帝は魔女の国に行ってしまった。
アンバーが即位すると、国のインフラ整備に力を入れたので、繁栄の原動力となり・・・
魔女の国の存在は、歴史からいつしか消え、薬草リキュールは幻の銘酒となったという。
おわり
「グランビアの当主、お相手をお願いしたいのだが・・」
しばらくして、グランビアの当主は立ち上がり、皇帝の手に自分の手をのせた。
拒否すれば、皇帝の面子(メンツ)を傷つけることになるのがわかっていたからだ。
皇帝は彼女の手を握り、まっすぐに広間の中央に向かった。
「まずベールをはずしていただきたい。
踊るのには、邪魔なんでな。
それから、この後、我が国との同盟の件と、アンバーとクラリスの婚姻の儀についても、話し合わねばならないし。」
「皇帝陛下・・強引ですわ」
グランビアの当主はうつむいた。
「強引さがないと、国を治めることができないことを、あなたも理解しているだろう?」
皇帝はそっとベールを持ち上げると、周囲がどよめいた。
だれも、グランビアの当主を見たことがなかったから。
そして、静まり返った。
「これで、グスタフ皇国と魔女の国が友好関係であることが、みなに理解されるだろう」
皇帝は満足げに微笑んだ。
「さぁ、曲を」
二人が踊り始めたると、クラリスはアンバーにささやいた。
「お母さま、幸せそう。よかった・・」
アンバーはクラリスの手をしっかり握った。
「君は・・幸せ?」
「あなたと一緒なら・・」
音楽はまだ続いている。
クラリスが庭を見ると、イーディスとミエルが木々の間を、風に舞う木の葉のように踊っている。
3組の恋人たちは、それぞれに幸福で満たされていた。
<エピローグ>
1年後、アンバーとクラリスの結婚式がとり行われた後、皇帝は魔女の国に行ってしまった。
アンバーが即位すると、国のインフラ整備に力を入れたので、繁栄の原動力となり・・・
魔女の国の存在は、歴史からいつしか消え、薬草リキュールは幻の銘酒となったという。
おわり
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