【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜



 でも、この服の下に隠れた不安が、消えない。今日の顔合わせで、相手に気に入られなかったらどうしよう……ワンピースに感動していると、ノック音が聞こえた。それに奥様が返事をすると旦那様が入ってくる。
 心臓がまた速くなる。準備はできたけど、緊張で手が震えそうだ。


「支度はできたかい? お、奈津子もいたのか。今日も可愛いね」

「ありがとうお父様。お父様、私のワンピースを美宙さんにあげたの。そしたらとても喜んでくださったのよ。それにとてもお似合いなの!」

 奈津子お嬢様はそう旦那様に言うとお嬢様がいるからか「似合っているな」と思ってもないのにそう言った。心の中で、少し傷つく。褒め言葉が本気じゃないのは、わかる。でも、仕方ない。


「そろそろ行こう、時間に遅れてしまうからね」

「はい。よろしくお願いします」



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