【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
***
朝の甘い時間を過ごした後、アトリエで作業を再開する。今日は穂貴さんが新しい織物のデザインを考えていて、私はその補助をしている。
糸を選んだり、染めの見本を作ったり。穂貴さんの横で作業していると、自然と肩が触れ合う。穂貴さんがふと手を伸ばして、私の指に自分の指を絡めてくる。その感触に、胸がきゅんとする。
「美宙ちゃんの手、小さくて可愛いな」
「っ……穂貴さん、作業中ですよ?」
「うん、でもこうしてる方が集中できる」
穂貴さんが笑う。その笑顔に、胸がきゅんとする。でも、同時に心が痛む。この優しさは本物? 秘密を抱えたままの優しさ?
指が絡まったまま、作業を続けるのに、心は穂貴さんの温もりでいっぱいになる。好きで、怖くて、胸が締めつけられる。
作業の合間に、穂貴さんが突然私の腰を抱き寄せて、耳元で囁く。息が耳にかかり、体が熱くなった。
「最近、ちょっと元気ないみたいだけど……俺、何かした?」
心臓がどきっと鳴る。聞きたいチャンスなのに、言葉が出てこない。穂貴さんの心配そうな瞳に、胸がきゅんとして、痛い。
「い、いえ……そんなことないです」
穂貴さんは少し心配そうな顔をして、私の頰にキスをする。柔らかな唇の感触に、心が溶けそうになる。
「何かあったら、いつでも言ってね。俺、美宙ちゃんのこと……本当に大切だから」
その言葉に、胸がきゅんとした。涙が溢れそうになってしまう。穂貴さんの胸にそっと寄りかかり、温もりに甘える。心の奥で疑いが疼き出す。