【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

213. 巨人と小人

 最後に、黄金の光を纏ったミーシャが降り立った――。

 おぉぉぉ! うわぁぁ……。

 会場から驚愕の声が上がる。

 ミーシャだけが、異様に巨大だったのだ。他の三人は身長百メートルくらいなのに対して、三百メートルはあろうかというというサイズ。まるで巨人と小人のような差だった。

「シエル様ぁーー!」「剣聖様ー!」「勝ってくださいぃぃ!」「ルナ様ーー!」「聖女様最高!!」

 一気にヒートアップする会場。しかし、その声援の中には不安の色が混じっていた。このハンデは、予想以上に厳しい。本当に勝負になるのだろうか?

「ふふん、皆さんちっちゃいわねぇ……ふふっ」

 ミーシャは見下ろす視線で三人を眺め、いやらしい笑みを浮かべた。その余裕たっぷりの態度が、他の三人の神経を逆撫でする。

「ふん! 最後に立ってた者が優勝なんだからね! 去年同様、焼き尽くしてやるわ!」

 ルナが、ビシッとミーシャを指さして吠えた。吊り目気味の瞳には、本物の炎が燃えているかのようだ。

 シエルとエリナは、そんな舌戦には加わらず、淡々と準備運動をしている。しかしその目は、冷静にミーシャの動きを観察していた。

『さて、そろそろお時間です! 皆さん、準備はよろしいですか?』

「いつでもいいわよ? ふふっ」

 ミーシャは余裕の笑みを崩さない。

「ぬぉぉぉぉ!」

 ルナはここぞとばかりに魔力を込め、全身から炎を噴き上げた。緋色の炎が渦を巻き、湖面の水蒸気が一気に蒸発していく。「竜殺し」の異名は伊達ではない。

「おっしゃーっ! おっけーよ!」

 シエルは静かに弓を構え、矢筒から三本の矢を抜き取った。

 エリナは無言で赤い剣を抜き放ち、静かにサムアップして合図する。その瞳には、冷徹な殺意が宿っていた。

『それでは、本日のメインイベント『グランド・アルカナ:四花・頂上決戦(ザ・ファイナル)』決勝戦を開始いたします!』

 アリスの声が、会場に響き渡る。

 静まり返る観客席。数十万人が息を呑み、湖面を見つめている。

 ミーシャと三人の間に、バチバチと視線の火花が散る。

 空気が張り詰め、時間が止まったかのような静寂が訪れた。

『レディーーーー……』

 アリスが溜めに溜めて、そして叫んだ。

『ファイッ!』

 四人は一気に動いた。

 ミーシャはバックステップしながら、両手を前に突き出した。空中に黄金の魔法陣が浮かび上がり、そこから無数の光の盾が出現する。ホーリーシールド――お得意の盾魔法だ。幾重にも重なった盾が、ミーシャと三人の間を完全に覆い尽くす。

 ルナは天に向かって咆哮した。

「炎の化身よ! 現れよ――」

 上空に巨大な炎の渦が出現し、それが徐々に形を成していく。首が伸び、尾が揺らめく。炎で形作られた巨大な龍が、咆哮を上げながら姿を現した。炎龍(えんりゅう)――ルナの切り札だ。

 その間に、エリナは地を蹴ってミーシャへと一気に迫っていた。黒髪が風になびき、黒剣が夕光を反射して妖しく輝く。その速度は、まるで影が滑るようだった。

 シエルは間髪入れずに矢を三本同時に放った。銀色の軌跡が空を切り裂き、ミーシャの盾に向かって飛んでいく。

 ミーシャは余裕の笑みを浮かべたまま、盾で全てを受け止めた。

 キィン、キィン、キィン。

 シエルの矢が盾に弾かれ、火花を散らして落ちていく。

「無駄よ。このサイズ差では、私の盾は破れないわ」

 ミーシャは涼しい顔で言い放った。確かに、サイズが大きいということは、それだけ魔力の総量も多いということだ。同じ魔法でも、より強力に、より持続的に発動できる。

 エリナの剣撃が盾に激突した。衝撃波が広がり、湖面が大きく揺れる。しかし、盾は微動だにしなかった。

「やはり、正面からでは無理か……」

 エリナは舌打ちしながら後退した。

 そして、上空から炎龍が降り注いだ。

「燃え尽きなさぁぁぁい!」

 ルナの叫びとともに、炎龍がミーシャに向かって突進する。その熱量は凄まじく、周囲の空気が歪んで見えるほどだった。

『出たーー! 伝家の宝刀、炎龍だぁぁ!』

 隙の無い攻防を固唾をのんで見守っていたサキサカが叫んだ。

 去年はこの炎龍で一気に形勢を逆転してきたのだ。


 しかし――――。

 ミーシャは、ほほ笑みすら浮かべながら両手を天に掲げた。

「ホーリー・ドーム」

 盾が変形し、ミーシャを完全に包み込むドーム状の結界となった。

 そこに突っ込んでいく炎龍――。

 刹那、ズゥゥゥン!と凄まじい爆発が起きる。辺りの湖面が沸騰し、水蒸気が天高く立ち上る。

 観客たちは思わず目を覆いながらも湖面から目を離せなかった。

 やがて炎が収まり、煙が晴れていく。

 そこには、無傷のミーシャが笑みを浮かべながら立っていた。
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