僕と影と猫娘
数日後、学校帰りに猫娘を見かけた。
電信柱の影から僕を見ていた。
「……にゃー」
『ダメだぞ』
影が呟いた。
僕は頷いてから歩き出そうとして、勢いよく連れ去られた。
気づいたら空き地に仰向けに寝かされていた。
ランドセルごと地面にぶつけた背中がちょっと痛いし、引っ張られた腕は結構痛い。
猫娘が、僕に覆いかぶさっていた。
「……あたし、あなたを諦めないから」
「うん。いつかまたさらってよ。誰も探しに来られない場所にさ」
「楽しみにしてて」
「してるよ、ずっと」
猫娘は泣きそうな顔で、僕の首元に顔をこすりつけた。
僕の下で影が不満そうにしていたけど、仕方ない。
首が舐められた。
僕は彼女の髪を梳く。
耳元でささやいたら、首が噛まれた。
僕の腕が痺れてきた頃、猫娘は起き上がって、僕をジッと見つめる。
猫娘は悲しそうに笑って去って行った。
『お前は、ほんっとうにバカだな。親父さんに怒られるぞ』
「いいよ、怒られても」
どれだけ怒られても、僕は彼女を待ち続けると決めたから。
起き上がって家に帰った。
鏡を見たら首に真っ赤な噛み跡があって、思わず指でなぞる。
これが消えるまでは、僕も寂しくないと思う。
電信柱の影から僕を見ていた。
「……にゃー」
『ダメだぞ』
影が呟いた。
僕は頷いてから歩き出そうとして、勢いよく連れ去られた。
気づいたら空き地に仰向けに寝かされていた。
ランドセルごと地面にぶつけた背中がちょっと痛いし、引っ張られた腕は結構痛い。
猫娘が、僕に覆いかぶさっていた。
「……あたし、あなたを諦めないから」
「うん。いつかまたさらってよ。誰も探しに来られない場所にさ」
「楽しみにしてて」
「してるよ、ずっと」
猫娘は泣きそうな顔で、僕の首元に顔をこすりつけた。
僕の下で影が不満そうにしていたけど、仕方ない。
首が舐められた。
僕は彼女の髪を梳く。
耳元でささやいたら、首が噛まれた。
僕の腕が痺れてきた頃、猫娘は起き上がって、僕をジッと見つめる。
猫娘は悲しそうに笑って去って行った。
『お前は、ほんっとうにバカだな。親父さんに怒られるぞ』
「いいよ、怒られても」
どれだけ怒られても、僕は彼女を待ち続けると決めたから。
起き上がって家に帰った。
鏡を見たら首に真っ赤な噛み跡があって、思わず指でなぞる。
これが消えるまでは、僕も寂しくないと思う。


