(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
大学一年生・四月*ふわふわで、ゆるゆるで、かわいい。
「せっかくなんだから、やろうよ、イメチェン」
意気揚々と、ヘアサロンのスタイリストがそう耳元でささやく。
「え、でも……似合うかどうか、わからないよ」
「そこは任せなさーい! 何年、白井さんの髪を切っていると思う? あなたの髪の癖は全部わかっているから」
ふんふんふんと鼻歌まじりで、スタイリストがカタログを広げてみせる。そこには、軽やかな髪色で弾むヘアスタイルのモデルがいた。
「前々から、白井さんの髪でやってみたかったのよね〜」
などと彼女はいう。ご機嫌のスタイリストとは別に、店長もやってきては、
「ついに白井さんもカラーリングデビューね」
(え、カラーリング?)
「そうそう、これは私達からのお祝いよ。大学入学、おめでとうございます!」
(え、お祝い?)
「じゃあ、切るわよ〜」
(え、切るの? まだヘアスタイル、決めていないのに)
とんとん拍子で進む話に、動揺する私のことなど構われない。ヘアカットがはじまる。
そう、大学デビューという名目で、私はスタイリストらの練習台となっていたのである。
私こと白井睦実は、晴れて大学生となった。進学先は、とある総合大学の農学部。
今日はその入学式である。朝からまだセットに慣れていないパーマの髪を整えて、ネイビーのスーツを身に纏う。黒の書類鞄とシンプルなパンプスを履けば、リクルート学生にも見えなくもない。もっとも、ヒールのある靴に慣れていないから動作がぎこちなくなくて、ここで大学生とわかってしまうのだが。
入学式は運動公園体育館で行われる。学内の施設ではない。不思議な感覚を抱きながら、私は電車に乗ったのだった。
意気揚々と、ヘアサロンのスタイリストがそう耳元でささやく。
「え、でも……似合うかどうか、わからないよ」
「そこは任せなさーい! 何年、白井さんの髪を切っていると思う? あなたの髪の癖は全部わかっているから」
ふんふんふんと鼻歌まじりで、スタイリストがカタログを広げてみせる。そこには、軽やかな髪色で弾むヘアスタイルのモデルがいた。
「前々から、白井さんの髪でやってみたかったのよね〜」
などと彼女はいう。ご機嫌のスタイリストとは別に、店長もやってきては、
「ついに白井さんもカラーリングデビューね」
(え、カラーリング?)
「そうそう、これは私達からのお祝いよ。大学入学、おめでとうございます!」
(え、お祝い?)
「じゃあ、切るわよ〜」
(え、切るの? まだヘアスタイル、決めていないのに)
とんとん拍子で進む話に、動揺する私のことなど構われない。ヘアカットがはじまる。
そう、大学デビューという名目で、私はスタイリストらの練習台となっていたのである。
私こと白井睦実は、晴れて大学生となった。進学先は、とある総合大学の農学部。
今日はその入学式である。朝からまだセットに慣れていないパーマの髪を整えて、ネイビーのスーツを身に纏う。黒の書類鞄とシンプルなパンプスを履けば、リクルート学生にも見えなくもない。もっとも、ヒールのある靴に慣れていないから動作がぎこちなくなくて、ここで大学生とわかってしまうのだが。
入学式は運動公園体育館で行われる。学内の施設ではない。不思議な感覚を抱きながら、私は電車に乗ったのだった。