不仲の同期が、私の婚活を邪魔しにきた件について!
私と鶴岡さんが挨拶を交わすのを見届け、美希は「ごゆっくり~」とそそくさと会場の最終確認へと向かってしまった。
さりげなく〝次の恋〟を斡旋しようとしているんだろうけれど、その魂胆はみえみえだ。
――とにかく。ここまできたら、美希のためにも、しっかり役目は果たさないとね。
「緊張してますか?」
美希の背中を見送っていると、隣に腰を下ろした鶴岡さんが気遣ってくる。
缶コーヒーを差し出された。とても心遣いのある優しい人だ。
私はお礼を言いながら受け取り、頭を横に降った。
「大丈夫です。緊張というよりは、ちょっとだけ罪悪感があるかもしれません――」
イベントを盛り上げるためとはいえ、こんな嘘をつくのは気が引ける……という気持ちからポロリと口にしてしまったが、慌てて口を閉じた。
友人の美希ならともかく、主催社側の鶴岡さんの前でこんなことを言ったら、困らせるだろう。