不仲の同期が、私の婚活を邪魔しにきた件について!

 未婚で恋人もいないから無理くり頼まれたのだと困ったように笑った彼は、目を見張るほどの眉目秀麗な男性だった。
 ……いくらサクラとはいえ、相手が私でいいの? と思うほどに。
 
「神山さん、今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
 
 イベントの流れを説明されたあとに、鶴岡さんと握手をする。
 
 心のなかで本日の私のすることを復唱した。 
 進行に沿って動いたあと、最後に配布される好感を得た人物名を記載する用紙に、鶴岡さんの名前を記載する。 
 そしてエンディングで、カップリングが成立しなかった場合――
 成立したカップリングの一組として私と鶴岡さんが紹介される。
 
 いわば、イベント内でカップリングが成立しなかった場合の保険――盛り上げ役というわけだ。
 周囲を欺くようで申し訳ない気持ちにはなるが、こういったイベントには重要なのだと美希は力説していた。
 
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