窓明かりの群れに揺れる
11.同期とテーブルを囲む夜 ― 「大人の自分」が少し見えてきた
新人研修も、
気づけば後半戦に差し掛かっていた。
会社の事業説明や
社内システムの使い方といった
座学は落ち着き、
代わりに、部署を跨いだグループワークや、
先輩社員との座談会が増えていく。
「今度さ、研修メンバーで
軽く飲みに行かない?」
ある日の休憩時間、恵が提案した。
「できれば、
あんまり大人数じゃないほうが
いいんだけど……。
春奈と、達也と、直樹あたりどう?」
「いいね、それ。
四人くらいが一番しゃべりやすいし」
いつも明るくて、
ちょっとふざけたがりの達也。
落ち着いた雰囲気で、
よくグループワークをまとめてくれる直樹。
どちらも話しやすくて、
研修の中では自然と
一緒にいる時間が多かった。
「じゃ、金曜の研修終わりに駅前集合ね。
予約しとく」
恵のテンポの良さに押されるようにして、
飲み会が決まった。
金曜の夜。
研修が終わると、会社の最寄り駅前に集まった。
「おー、みんなちょっと雰囲気違うな!」
達也が、いつもの調子で声を張る。
「いや、あんたはいつもの
スーツのままじゃん」
恵のツッコミに、みんなが笑う。
「春奈、そのカーディガン似合うね。
オフィスカジュアルって感じ」
「あ、ありがとう」
直樹のさりげない一言に、
少しだけ肩の力が抜けた。
予約していた居酒屋は、
チェーン店だけど内装が落ち着いていて、
半個室のようになっている
四人掛けのテーブルに案内された。
「とりあえず、最初はどうする?
ビール? カクテル?」
「ビールで!」
「私はグレープフルーツサワー」
「じゃ、俺もビール」
最後に順番が回ってきて、
春奈は一瞬だけ迷う。
「……じゃあ、私もサワーで。
アルコール弱いので、
薄めのやつでお願いします」
注文を終え、料理を何品か頼む。
乾杯までの短い時間が、
妙にそわそわして落ち着かない。
「あのさ」
達也が、
メニューを閉じながら笑った。
「俺たち、もう“学生”じゃなくて“
同じ会社の新人”なんだよね。
研修ばっかやってると、
その実感ちょっと薄いけど」
「わかる。
でもさ、朝起きてネクタイ締めて
通勤してる時点で、
だいぶ社会人だと思うけど?」
恵がそう言って肩をすくめる。
「ネクタイないから、
まだ半分学生気分かも」
自分のブラウスの襟を指でつまみながら、
春奈も笑った。
気づけば後半戦に差し掛かっていた。
会社の事業説明や
社内システムの使い方といった
座学は落ち着き、
代わりに、部署を跨いだグループワークや、
先輩社員との座談会が増えていく。
「今度さ、研修メンバーで
軽く飲みに行かない?」
ある日の休憩時間、恵が提案した。
「できれば、
あんまり大人数じゃないほうが
いいんだけど……。
春奈と、達也と、直樹あたりどう?」
「いいね、それ。
四人くらいが一番しゃべりやすいし」
いつも明るくて、
ちょっとふざけたがりの達也。
落ち着いた雰囲気で、
よくグループワークをまとめてくれる直樹。
どちらも話しやすくて、
研修の中では自然と
一緒にいる時間が多かった。
「じゃ、金曜の研修終わりに駅前集合ね。
予約しとく」
恵のテンポの良さに押されるようにして、
飲み会が決まった。
金曜の夜。
研修が終わると、会社の最寄り駅前に集まった。
「おー、みんなちょっと雰囲気違うな!」
達也が、いつもの調子で声を張る。
「いや、あんたはいつもの
スーツのままじゃん」
恵のツッコミに、みんなが笑う。
「春奈、そのカーディガン似合うね。
オフィスカジュアルって感じ」
「あ、ありがとう」
直樹のさりげない一言に、
少しだけ肩の力が抜けた。
予約していた居酒屋は、
チェーン店だけど内装が落ち着いていて、
半個室のようになっている
四人掛けのテーブルに案内された。
「とりあえず、最初はどうする?
ビール? カクテル?」
「ビールで!」
「私はグレープフルーツサワー」
「じゃ、俺もビール」
最後に順番が回ってきて、
春奈は一瞬だけ迷う。
「……じゃあ、私もサワーで。
アルコール弱いので、
薄めのやつでお願いします」
注文を終え、料理を何品か頼む。
乾杯までの短い時間が、
妙にそわそわして落ち着かない。
「あのさ」
達也が、
メニューを閉じながら笑った。
「俺たち、もう“学生”じゃなくて“
同じ会社の新人”なんだよね。
研修ばっかやってると、
その実感ちょっと薄いけど」
「わかる。
でもさ、朝起きてネクタイ締めて
通勤してる時点で、
だいぶ社会人だと思うけど?」
恵がそう言って肩をすくめる。
「ネクタイないから、
まだ半分学生気分かも」
自分のブラウスの襟を指でつまみながら、
春奈も笑った。