これはもはや事故です!
「無理したら治るものも治らないよ」

 その声が優しくて、でも強くて。
 嫌じゃないのがまた困る。

「それに、部屋に着いても……誰もいないだろ?」

 図星を刺され美羽は、視線を泳がせた。
一旦、部屋に入ったら、行倒れしそうな予感しかない。
 でも、気合があれば⋯⋯何とか出来る?

「ど、どうにかします……」

 とは言ったものの、怪我して帰る暗い部屋。
 転んでも起き上がれない可能性。
 一人で泣いてる未来が頭をかすめて……怖い。

 そんな気持ちを読んだように、磯崎はふっと息を吐いた。

「しばらく俺の家に来なよ」

「へっ?えっ???」

 顔が一瞬で熱くなる。

(耳がおかしくなった?いや、待って。この流れでそんな展開ある!?)

 でも、彼の表情は本気そのもの。

「危ないし、怪我の悪化も心配だし……何より、放っておけない」

 その言葉は、静かで、揺るぎなくて……。
 優しさだけじゃない、何か別の感情を含んでいるように聞こえた。

 ドクン、と心臓がひとつ、大きく鳴る。
 

< 15 / 132 >

この作品をシェア

pagetop