これはもはや事故です!
 不安も警戒もまだ消えないのに、磯崎の言葉は妙に安心をくれる。
 そんな感覚に、美羽は戸惑ってしまう。

「美羽さんの手足となって、俺が動く」

 美羽の胸の不信と警戒と、少しの安心が混ざり合って、視線はまだ宙を泳ぐ。

 でも、磯崎はそんな美羽に気づいたように、少しだけ声を低くした。

「俺の事を信じられないのは分かってる。でも、君を守るために出来ることは全部するよ」

 その言葉だけは、疑えなかった。

「冷やした方がいいだろうから……」

  磯崎の手には、さっきキッチンから持ってきた氷嚢とタオルが握られていた。

「足、少し上げて」

「……あ、はい……」

 返事をしながらも警戒心が解けない。
 距離が近い。
 膝に手が触れそう。

 やさしく足を持ち上げられた瞬間……。

(っ……! なんか……近い……)

 体がびくっと反応する。

「痛かったら言って。無理に動かさないから」

「……大丈夫です」

 磯崎の声は落ち着いていて、美羽の熱を持った足首を気遣い、丁寧に手当てをしてくれる。
 当てられた氷嚢から、冷たさがじわっと染みて、少し痛みが引く。

 でも、美羽の心はむしろ落ち着かない。
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