これはもはや事故です!

む、無理です!

「氷嚢はしばらくそのままで。痛みが少し引くはずだよ」

 磯崎はそう言って立ち上がり、広いリビングに静かな足音が響いた。

 美羽はまだ緊張で身体がこわばったまま、ソファの上で、包帯の巻かれた足がじんじんしてるのを感じていた。

「……とりあえず、今日はちゃんと横になって休んだ方がいい」

 そう言って、キッチンから戻ってきた磯崎は、美羽にホットココアが入ったカップを手渡した。
 そっと、口をつけると甘くて温かな優しさが体に沁みわたる。

「横に……ですか?」

「うん。ソファだと体が痛くなる。ベッドの方がいい」

「えっ……」

(べ、ベッド!?こんな状況で……!?)

 美羽が固まっている間に、磯崎がさらりと言った。

「俺はソファで寝るから。美羽さんはベッド使って」

「む、無理です!!」

 食い気味に叫んでしまった。
 磯崎が驚いたように目を瞬かせる。

「無理って……何が?」

「そ、そんな……私、いくら独身でも……男の人の家で……その……ベッドなんて……!」

 混乱した美羽の口からは、TLコミックで読んだシチュエーションが、あれこれ浮かび、心の声がポロポロとこぼれる。

(きゃ~!だめだ。言葉が全部変な方向に転がっていく)
< 25 / 132 >

この作品をシェア

pagetop